12小節目 ページ15
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ワンフレーズでも耳に入ればあぁあいつが歌っとるなと分かるくらいには聞き慣れてしまったAの曲。野暮用でシャオロンに呼ばれて部下たちの世話をしてる間Aのことはショッピに任せといた。歳も同じ言ってたしいつやったか「Aさんの生歌聴き放題って羨ましいっわー」とチーノと顔を見合せながらいつもよ調子で言っとったから問題は無いやろと思っとった。
「一緒に！歌ってー！」
「Aー！こっち向いてー、きゃー。」
「もう、コール付きでってたってずっと同じトーンでされたことなんて初めてよ！」
「いやぁんな事言われたってねぇ。」
Aが練習してる部屋から聞こえるAの楽しそうな歌声。
ショッピ君に面倒見させて正解やったななんて思いながら部屋に入ろうとすると、聞こえたのは無邪気なAの笑い声。
部屋に入ってもショッピ君は気付いて一瞥を寄越してきたけど目の前の一人の観客のために必死に演じとるAは俺に気付く素振りも無くて、口をついて出た感想は「ちゃうな。」
「戻ってきて一声がそれ？何がちゃうななのよ、教えて。」
「何かな……ちゃうねん。あ、ショッピ君ありがとな。こいつやかましかったやろ。」
「あんたに比べりゃまだマシってとこっすね。あとコネシマさん、なにがちゃうなんか俺分かりますよ。」
「ショッピ分かるの？流石先輩後輩なだけあるわね……」
「な、さすが俺の後輩やわ俺も分からんのに。」
「ファンサがアンタやなくて俺に向いてるんが嫌なんやろ。個別ファンサしか受け入れられへん厄介オタクっすやんコネシマさん。」
「厄介オタク……って何や？」
「まさか！コネシマが!?」
「Aは分かるんか。」
「分かるけど……違うと思うわ。だってそれって結局……」
「結局なんや。」
「貴方、ショッピにヤキモチ妬いたの？」
「はぁ？」
「でしょ？よね、だから違うわ。なにか違和感が確実にあったのよ！」
俺が？Aからのファンサービスが無くてへそを曲げたんだ、ショッピ君はそう言いたいらしい。俺が？ヤキモチ？
なんでや。
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年3月5日 14時
