10小節目 ページ12
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「今日はもうええやろ。A、帰るで。レッスンは明日からでええやろ、俺が見届けたる。」
「何よいきなり。いいわ。あなた、私のボディーガードだものね。」
「アホ抜かせ変なことしでかさへんようにや。」
「何よほんとに！……まぁ？邪魔しないでよ？」
「知るか。グルッペン、トントン！ほなまた明日。」
「お二人共さようなら、良い夜を！」
ふらっと手を振ったコネシマの背を見送った後、隣で笑いが堪えられそうに無いと言いたげに肩を振るわせるグルさんにどう声をかけようかと何度目か分からないため息をついて手持ち無沙汰にならないよう書類をまとめて様子を見ていた。
「見たかトン氏！あの娘の変わり様！コネシマまで懐柔していた！あの子は魔性だ、人を魅了する何かを持っている！とりわけ、人間に興味のない人間の視線を根こそぎっていくんだ！あの才能は活かせる。是非とも共に戦って広報をしてもらいたいものや。」
「やめとき。ただの隣国のアイドルどう取り込もうってんねん。あん国はデカすぎる、ふっかける理由もあらへん。Aさんもあくまでお客さんとしていはんねんで。」
「コネシマが既成事実作るとか？孕んじまえば嫌でも来るやろ！」
「なっ！んちゅーこと言い出すねん。」
本気やねんけどなあ、と楽しそうに笑うグルさんを横目に仕事をできるだけ捌いていく。
けどまあ、実際問題あの二人想像以上に上手くいっている様子ではある。
コネシマが思ってたよりもAさんに入れ込んどるというか……明らかな特別扱いをしてる。わかりやすく主張の強い典型的な我儘娘かと思っていたけどどうやら違うらしく、見るからにコネシマとは違うベクトルでグルさんも興味津々。
「ま、初めましてやった他人にあのシッマが人間らしい反応しとるんはおもろいやろうけど。」
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年3月5日 14時
