Valentin Stück 2 ページ10
「……グルッペンはいつも綺麗なお菓子を作ってくるから。そこに手作りをぶつけても下手なの晒して何が嬉しいの。」
「はぁぁぁAちゃん男と付き合ったことあらへんのん⁉︎いくら相手がグルッペンでも！あいつは男や！女の手作りを喜ばん奴はおらん！腹括れ！」
「女に腹刺された大先生が腹括れ言ってはるわ流石やな。」
「ロボロ今だけはそれ言うな！じじちん！」
そっか……グルッペンが喜ぶ何か……頑張って作るしかない！
そう腹を括って満を持してバレンタインデー。みんなにもあげる分とは別に紙袋を提げて授業も無くなったのにサークルでも部活でもないのに溜まっている空き教室に行くために私の最寄駅の改札でグルッペンを待つ。……喜んでくれるかな。
「グルッペン！わざわざこっちの駅まで来てくれてありがとうね？」
「いや、ここの周りはいいケーキを置いてある喫茶店が多くて何度も来たくなるからいいんだ。
ほら、バレンタイン限定とやらのケーキを食べに行こう。」
「うん！グルッペンが付いてきてくれて嬉しいや。」
「誘ってもらえて光栄だ。」
可愛らしい空間の中で目を輝かせているグルッペンは本当にいつものかっこよさは身を潜めていて。可愛いなあ何て思いながら食べる様子を眺めていると何をみてるんだと小突かれる。
「ここで渡すのも気が引けるんだけどさ、……これ、いつもグルッペンは私にお菓子作ってくれるでしょ？私、グルッペンみたいに上手にできないんだけど……カップでザッハトルテ作ってみたの。チョコは他の子にも貰うだろうから飽きちゃうでしょ？」
事実、あまり機会はないと嘆きながらグルッペンを好奇の目で見ている女の子たちが少なからずいることは知っている。よく漫画のように狙われなくて済んでいるな私。
「他の人からなんて貰うことない……が、Aが作ってくれたものは何でも嬉しい。ありがとうな。そうかAから貰えるのは……そうやな……嬉しいな。」
「みんな用にも量産した別のものはあるんだけど、ザッハトルテはグルッペンだけ。」
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年2月6日 0時
