4粒目 ページ6
「ごめん!待った?」
「いや、やることがあったから丁度だ。そっちの道の方に美味しい喫茶店があるらしくてな、男一人だとかあの中の誰かを誘うにも野郎がいる空間じゃなさそうでな……その、」
「行こうよ。美味しいんでしょ?私も行きたい!」
「ふっ、わからんけど本当にAがいてくれて良かった。」
じゃあ行こう、とさりげなく繋がれる手。
え、とつい出た言葉とそれに合わせて強く握られた手。
その持ち主を見上げると耳まで真っ赤でつい私も強く握り返してしまった。
「……行こ、っか。」
「ああ……!」
私ってこんなにウブだったっけ、グルッペンはしばらくしたら慣れてきたのかいつも通り今日何があったとか他愛もない話をしてくれて、そういえば可愛くて映えると友人が言っていた喫茶店ではとてもおいしそうに期間限定ケーキを頬張っていた。
「Aは本当に甘いものが好きなんだな。」
「グルッペンには負けるけどね。」
「言うようになってしまったな。全く、俺がAに初めて声をかけた時はそんなんじゃなかったはずだゾ?」
「周りの環境って本当に大事なんだね、勉強になったよ。」
「どうしてなんだか。」
「グルッペンがお誘いしてくれたからかな。」
不本意だったのか口をとがらせてAが楽しいならそれでいい。と不貞腐れる彼を見ながらザッハトルテを頬張る。グルッペンが最初チョコをくれた時からなぜだかチョコが今まで異常に好きになってきた。それを知ってかグルッペンはよく沢山作ったチョコを持ってくるものだから……少しダイエットをした方がいいとも思い始めた。
「どうかしたのか。」
「特に……いやね、最近沢山お菓子をくれるじゃん。美味しいし大好きなんだけど太ってきちゃったみたいでダイエットしようかなって。そうだ、ロボロに聞いたらいいダイエットトレーニング知ってるかな。」
「それは気付かなかった、完全な盲点だすまない。」
「いやいやいや!グルッペンのくれるものがってのじゃない!私が運動すればいい話だから、ね?」
「そか……よかった。俺もちょっと考える。」
何気ない会話の中でも気を使ってくれたり、たまにあわあわしてたりするギャップも……あぁ好きだなぁ。
自分に告白するだけの勇気も覚悟もないくせに、好きって気持ちが先行して……まぁでも、それがいいと思う自分がいてしまう。
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2024年2月6日 0時