8粒目 ページ15
「グルッペン……あのね、私の話聞いてくれる？」
「勿論、何か不安なことがある顔をしているな。話してくれるのか？」
「私、毎日グルッペンに会えて嬉しい。毎日お菓子を振舞ってくれるのも、こうやってたくさんお話ししてくれるのもすごくすごく嬉しいの。……けどね？」
「けど？」
私は自分の身に起きている異常を洗いざらいグルッペンに話した。
何が起こっているのかも分からないままに侵食されていくような感覚に怯えながら過ごすのはもうたくさん、誰でもいいから助けてほしい。
グルッペンなら、助けてくれるはず。
私はもう冷静ではいられなくなったらしい。
グルッペンから離れなくちゃ迷惑がかかる。
＿＿分かっているのに私はいますグルッペンに助けを求めてる。
頭のどこかでこの異常に少なくともグルッペンがトリガーとなって私を堕としているのも分かっている。
＿＿分かっているのに私は毎日彼から与えられるギフトを手にした瞬間それを当たり前のように口にして咄嗟に動く体の制御を失う。
「ねえ……私、もうどうしたらいいのか分からないよ。」
「どうすれば、か。」
「その衝動に身を任せてしまえ。
俺を求めて仕方ない？なら俺がそれを全部受け止めたらええ。
俺はもうとっくに、その覚悟ができているゾ。
A、俺の手を取れ。
一生、その苦しみから解放させてやれる方法を俺は知ってる。」
チェックメイトと言わんばかりに法悦の笑みを浮かべて腕を広げるグルッペン。
さあ！と急かす彼の声がぐわんぐわんと頭に響いて、身体中の血が沸騰するような感覚が体を駆け巡って、この世界に私とグルッペンの2人しかいないと錯覚するほどきゅうと視界が狭まって……
その手を取ってはいけないと警告音のような耳鳴りを無視して私の体は迷うことなく彼の手を取って、その腕の中に収まった。
＿＿＿＿＿＿
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2024年2月6日 0時
