[13.]．香り立つ刹那と共に ページ5
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『さかよー』
阪本「･･･っ、何？」
『部活、戻る気ないん？』
阪本「･･･ない、」
正直、阪本が一番戻って来にくいのは分かっている。それは、阪本が一番ヤバかったから。
中谷「カメ、もうコイツに部活のこと言わんでくれ」
『ちゃうねん、私、ほんまに戻ってきて欲しくて･･･』
中谷「それをやめろって･･･」
阪本「･･･とにかく、部活には戻る気はないから！」
『阪本･･･！』
阪本に強く言えないのは、あの時私も先輩を止められんかったから。どれだけ、阪本が嫌な思いをしてきたか少しは分かっているつもりだ。
辻󠄀「･･･阪本なんて大丈夫なん？」
『けど、あのソロは･･･絶対に阪本にしか吹けんから･･･』
別に後輩を期待していないわけではない。けど、やっぱり曲を聴くと、阪本が吹くイメージが一番つく。
辻󠄀「阪本は厳しいって･･･」
『そんなん言うたら大西もそうやろ』
みんな、みんな、私たちが辞めさせたもんやん。涙が出てきた。皓平は、私を隠すように抱きしめてくれていた。
『自分で言うた割に･･･ごめん。･･･こんなん嫌やのに･･･』
辻󠄀「また言えばええから･･･うん」
変わらないといけない。泣いてても何も変わらないから。
『･･･私、阪本のところ行ってくる』
辻󠄀「A･･･！」
あいつには謝らなければいけないこと、頼まなきゃいけないことが沢山ある。ほんまは、中谷にも大西にも寺内にも。みんなに謝らないといけない。それが誠意なら、それでもしないといけない。
『阪本！』
阪本「な、何！？」
『いっぺん話そや･･･三人で』
こっちも覚悟決めなあかんやろ。
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年12月21日 23時
