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『今日は、ソロコンの練習？』
秋定「ごめん！支部大会近いねんけど！」
『ううん、さすけも一緒よね？私もやらなあかんことあるから』
秋定「大西と寺内？」
『うーん、まぁ？そんな感じっちゃあ･･･そんな感じ？』
じゃあ、とあっきーと別れて部室に行く。すると、トランペットの音が聞こえてくる。皓平の音とも違う、この確かな音。
『大西？』
大西「うわっ！･･･な、なんやねん！」
『今日、トランペットはレッスンですよ？』
大西「やからやろ･･･」
座り込んだ大西の隣に付けて座る。
『上手いやん、今も』
大西「全然ダメや･･･こんなんじゃ･･･」
『私、大西の音好きやで。人に寄り添えられる優しい音』
大西「え？」
皓平は、よく大西のことを褒めていた。俺よりも洗練された音を出す奴が居る、と。一目見た時、私は彼だとすぐに分かった。人に寄り添うことの出来る人やと。
『皓平は、時たま独りよがりやからな。あれは、トップの器。それは大西も分かっとるやろ？』
大西「流石、幼なじみは言うことがちゃうな」
『私ね、基本トップ以外の人はトップ争いに負けた人って言うねんけど･･･』
大西は、そういうタイプやない。自分の特性や相手の特性をよく理解した上で、下吹きに愛された奴。そう思っている。彼の分析力はずば抜けている。楽器の技術に関することは、確かに皓平が上なのかもしれない。けど、彼なしではいつかあのパートは壊れる。
『大西は策士やから、“あえて”トップ争いに参加せえへんのやな･･･って思ってる』
大西「“あえて”･･･なぁ･･･」
『私も先輩のこと嫌いやから安心し』
大西「ふはっ、お前も嫌いなんかいな」
『うん。言っちゃ悪いけど、ちょー嫌い！』
大西「おもろ」
『･･･皓平がこのままパートを仕切ってたら、いつか壊れる』
大西「え？」
『あいつは、上手すぎるから。上手い奴だけがついて行くようになる』
バラバラになる前に頼むしかない。
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年12月21日 23時
