[12.]．ぼくらが彼らを連れ戻す理由 ページ1
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『原田？』
原田「あれ、カメやん。どうした？」
日向が気持ちいい屋上。寝ることが好きな彼はいつもここに居る。
『原田さ、部活･･･』
原田「俺、パス」
『ちょっとだけでええから！』
原田「もう金輪際･･･アイツらと関わりたないねん」
『･･･原田が･･･先輩たちと何があったかは知ってる･･･けど』
原田「なんで今さら俺のところ訪ねにきたん？」
『それは･･･、』
原田は、バストロを吹かせたら右に出る人が居らんくらい上手かった。それに、きんとも仲が良くて、まぁ、同じくらい言い合いにはなってたけど、仲良くて。
『来年、華麗なる舞曲やんねん！』
原田「･･･華麗なる舞曲？」
あの曲は、全てのパートにしっかりとした技術がないと出来ひん。特に低音パートの音作りは、基礎力があって、コンビネーションがあった方がええ。透とも相性が悪いわけではない原田は、やはり居って欲しい。
『分からん！オーディションやから･･･けど、･･･バストロは原田にしか出来んというか！』
原田「上手いバストロ吹きなんて探せば沢山居るよ」
『けど･･･！』
原田「お前が言いたいことは分かった。けどな、」
『永見！･･･永見って一年の子が今トップをやってる！』
原田「だからなんやねん･･･」
『とにかく･･･待ってるから』
屋上を去る。私たちは、いや、私は、またあのメンバーで音楽がしたいだけなんだ。
堂前「原田、ダメやった？」
『･･･うん、･･･けどまた明日言ってみる』
最近よく、一年の夏頃は楽しかったなぁ、と思う。きっと、今よりキツかったけど結局美しく見えるのはきっとみんなが居ったからで。
辻󠄀「･･･明日、ちょっと抜ける」
『分かった』
今日も部活に行く。私たちは、勇気がなかっただけなのではないか。
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年12月21日 23時
