・wn ページ29
あれからまた時が経って俺は社長になった
毎日仕事をこなしていたら嫌でも慣れるもので、もう社長という肩書きにも仕事にも何も思わなくなった
「喉、乾いたな…」
会議の合間にふらっと寄ったカフェ
それなりに混んでいたけどとりあえず何か飲みたくてそのお店に入って、そしてすぐに見つけた
「A…」
数年経とうとわかる
あれはどう見たってAだ
俺の記憶の中にいるAも綺麗だったけど、それよりまたずっと綺麗になっていて心が高鳴った
夢にまで見た人が、今自分の目の前にいる
もう一度神様がチャンスをくれたんだ、と
空いてしまった日々も、もしかしたら今日から埋めていけるのかな、なんて都合のいいことを思った
「ヌナ！」
だけどAの側には男がいて、そんな淡い期待はすぐに消えた
…当たり前だ
あれから何年経ったと思ってる
きっと、もう一度会えただけ奇跡だ
こんな機会、もう二度とない
そう思ったらどうしてもAと話したくて声をかけた
Aは心底驚いた顔を見せた
「…ウォヌも、元気だった？」
罵られる覚悟も、何なら殴られる覚悟も少しだけしていたのに、Aから発せられた言葉は俺を気遣う言葉で、胸が痛くなった
改めてAには酷い仕打ちをしてしまったと、心の底から悔やんだ
「今、幸せ？」
こんな台詞俺がいう資格なんてないのに、聞かずにはいられなかった
結局答えは聞けなかったけど、きっと今、Aは幸せなんだと思う
「…じゃあね。」
またね、と言うのはやめた
俺たちにきっとまた、はない
結局注文もせず店の外へ出ると、雪が降っていた
『ウォヌー！見て！雪降ってる！！…綺麗だね。』
『ウォヌってば本当に雪が好きなんだね。だってすっごく嬉しそうに笑ってるんだもん。』
目を閉じればそう言っていたAの姿がすぐに思い浮かんできて笑ってしまった
本当は雪なんか好きじゃないんだよ
雪を見て無邪気にはしゃぐAが好きなだけだったんだよ
あの時は照れ臭くて言えなかったけど、言っておけばよかった
ありがとうも、ごめんねも、さよならも言えなかった愚かな俺
きっと俺は、たくさんの選択を間違えた
だからこそ、今ここで身を引く選択をしたのは正しいんだと自分に言い聞かせた
「どうか、幸せになって…」
それは紛うことなき本心だった
Aに届くことのない言葉を呟いて、足早にそこから去った
頬を伝うものには気付かないふりをした
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紬希 - ビーグル犬さん» またまた感想くださってありがとうございます⸜( ˶'ᵕ'˶)⸝それは読んでくださる方の想像にお任せします…！私には選べませんでした…笑 (2023年1月31日 14時) (
レス) id: 4175d96370 (このIDを非表示/違反報告)
ビーグル犬(プロフ) - ウォヌ氏とミンギュ氏のお話、、夢主ちゃんはどちらを選んだのか..続きがめっちゃ気になります！いつも素敵なお話ありがとうございます(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ (2023年1月30日 15時) (レス) @page30 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
紬希 - ビーグル犬さん» 感想くださってありがとうございます！！！素敵なお話と言っていただけてもう本当にめちゃくちゃ嬉しいです( ；ᵕ； )♡長編書きたかったんですけど、文才がなく断念いたしました…これからも更新する予定ですので、お暇な時にまた覗いてくださると嬉しいです！ (2023年1月29日 20時) (レス) @page19 id: 9f339c0a92 (このIDを非表示/違反報告)
ビーグル犬(プロフ) - 赤福食べたい、から名前変えました！君のそばにいたかった、このお話も大好きです߹ㅁ߹)♡なんでこんな素敵なお話が書けるのか。。長編小説で読みたいくらいです！！ (2023年1月29日 19時) (レス) @page19 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
紬希 - 赤福食べたいさん» わ〜！！感想ありがとうございます！！お返事遅くなってしまってすみません（ ; ; ）そう言ってもらえてめちゃくちゃ嬉しいです！！長編…ちょっと考えてみますね！コメントありがとうございました！ (2022年11月7日 13時) (レス) id: a74d057914 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紬希 | 作成日時：2022年10月8日 22時
