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『……っ、』
目を覚ます。
広がるのは見慣れた胸板。
『師範……っ!!!』
Aは天元の腕の中にいた。天元の目は固く閉じられている。左目は斬られていて出血していた。
『師範、師範……!!』
何度呼びかけても起きない。
『………っ、師範!死なないで……!!私を置いて行かないで……!!』
天元と過ごした幸せな日常が、頭に浮かんでは消えていく。
ふと、Aはこの顔に見覚えがある事を思い出した。
それは、炎柱・煉獄杏寿郎との“無限列車”での任務の夢の中で見た美しい銀色の髪をした少年。
ーーお兄ちゃん!!ーー
?ーー俺が必ず、お前を幸せにしてやるーー
あの時の
?ーー悪いな、A。もうここには来れないーー
?ーーじゃあなーー
ーーお兄ちゃん!置いて行かないで……!!ーー
“お兄ちゃん”と瓜二つ。
『…………、お兄ちゃん』
ボソリ、と呟く。それに反応したかのように、天元の目がゆっくり開いた。
宇「……っ、やっと、思い出したか……」
『……っ、!!師範!ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!私が、師範の所に行かなかったから……!!』
宇「謝るな……。お前の、せいじゃない……。俺が……、力不足だっただけだ……」
『でも、……っ!!私、師範の弟子なのに……!!』
宇「良いんだ。お前の成長が見られれば。俺はそれで良い」
『師範……!!』
Aは天元を抱き締めた。天元も右腕でAを引き寄せる。
宇「馬鹿だなぁ……。俺なんかのために泣くとは……」
『うっ、ひっく、……だってぇぇぇ……!!』
宇「大丈夫。俺は……、死なねぇよ。お前の幸せを見届けるまではな」
『……っ、師範!!!師範、目を開けて!!』
再び閉じられた天元の目。
名前を呼ぶもなかなか起きない。
『嫌だ……っ!!師範、死なないでぇぇぇ……っ!!』
涙が
止まらなかった。
幸せな
だけど、曖昧な天元との世界。
音を立てて
崩れ落ちていく。
Aはしばらくその場を離れなかった。
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アカドラ - ひなさんのに追加なのですが蝶屋敷で治療の場面も見てみたいです。点滴苦手な夢主ちゃんを天元様が頑張れと支える感じで (2022年2月17日 21時) (レス) id: 23df05fb02 (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます!リクエストの件承りました!更新頑張ります!! (2022年2月17日 18時) (レス) id: d61d7e4bfb (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - アスパラさん» コメントありがとうございます!お宝作品だなんて(*´ω`*)嬉しすぎます!頑張ります! (2022年2月17日 18時) (レス) id: d61d7e4bfb (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - アカドラさん» コメントありがとうございます!リクエストの件承りました! (2022年2月17日 18時) (レス) id: d61d7e4bfb (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 今度ばんがいへんで、主ちゃんが血気術でなかなか下がらない高熱にうなされて、それで天元様が看病してくれるの読みたいです!!それと作品大好きです!!これからも頑張ってください! (2022年2月17日 11時) (レス) @page35 id: c44662b8ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななこ | 作成日時:2022年2月1日 8時