王様に捧ぐ薬指ーーもう一つの王様の物語ーー (ページ5)

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半年前

雄也side

金太郎｢これは！学歴不問！｣

雄也｢おおっ！｣

金太郎｢月給20万｣

雄也｢おおっ！｣

金太郎｢ウェディングプランナー！｣

雄也｢かっけー！｣

しかし…次に入った会社のラ•ブランシュでは…

何故か半年経ってもクビにはならなかった…

Aside

『あっ…そういうことか。惚れてたんですね』

東郷｢誰に？｣

『いや…私に決まってるでしょ』

東郷｢はぁ？｣

『えっ？』

え、違うの？てっきりそうだと思ってた。

東郷｢言っておくがこの世の全ての人間がお前の見た目を好きだとでも思ってんのか？はっ…絶望的にアホだな｣

アホって。酷くない？でも、こんなこと言ってくれた人、この人が始めてだ。

『いや…じゃあなんで結婚なんか…』

東郷｢アホだからだよ｣

『はっ？』

東郷｢でもそこがいい…｣

『はぁ？』

東郷｢愛さなくてすむからねぇ｣

『結婚…したいんですよね？』

東郷｢ああ…したいよ。別に結婚に愛って必要ないだろう？｣

『政略結婚ですね…いいですよ』

私はその政略結婚にのることにした。

○

東郷ーー言っておくがこの世の全ての人間がお前の見た目を好きだとでも思ってんのか？はっ…絶望的にアホだなーー

『新田……東郷……』

新田東郷。私が務めるラ・ブランシュの社長。新田ホールディングスの会長・新田智浩の一人息子。俺様でドSで王様気質で、何もかもが私とは違う。

だけど、あんなことを言われたはあの人が始めでだった。

雄也「姉ちゃん？大丈夫？」

『雄也……』

一人ボーッとしていると、雄也が話しかける。その隣では侑李と裕翔が大人しく勉強をしていた。

裕翔「雄也兄ちゃんここ教えて！」

雄也「しょうがねぇな〜」

裕翔「やった！」

侑李「A姉ちゃんに聞けば良いのに」

裕翔「姉ちゃんに聞いたって分かるはずないだろ！」

『むっ！失礼だな！』

裕翔「じゃあこの問題分かる？」

“算数嫌いだろ？”って言われて出されたのは、分数の問題。裕翔いわく、学校の宿題だそう。

『えっ！？今の小学生ってこんな難しいの！？』

裕翔「ほら〜！だから言ったじゃん！」

弟に呆れられるとは。なんとも情けない。でも、弟達の前では“素”で居られる。私の癒やしの空間。

いつか私の“素”を見せられる人が現れるのだろうか。

そんなことを思いながら笑い合う弟達を見つめた。