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東郷「羽田さん」
『はい』
東郷「何かおかしいことでも?」
『あ…いえ』
あのあと私は、社長室に呼ばれた。相変わらず綺麗な顔してるよな。
東郷「履歴書を見させていただきました。随分と職を転々とされていたそうですね」
『一身上の都合で…』
東郷「男性関係ですよね」
『えっ…』
なんで知ってるの?この人。
東郷「“羽田A26歳 2018年4月、コンビニエンスストアのカズマートで店員として働くも、オーナーに貢がせ、オーナーの妻が激怒し失職”」
『違います…』
東郷「“2019年9月、居酒屋ラーマの店員として働くも、常連客と交際トラブルになり失職”」
『だから…』
東郷「“2021年2月、派遣会社で受付嬢として働くも、男性社員2人を二股し失職”」
この人もか。どいつもこいつも。また内心ため息を着き、次の言葉を待つ。
東郷「あなたについたあだ名は…悪女」
『どうも〜♡悪女で〜す♡あの…言っときますけど私ほんとに何もしてないですよ。バカな男たちが勝手に惚れてきただけなんで。この顔が良すぎるんですかね』
東郷「開き直ったか」
『じゃあ謙遜すればよかったですか?』
東郷「いいや…評判どうりの性格の悪さをかいま見れてよかったよ」
『さっさとクビにしてくださいよ…王様』
東郷「王様?」
『社長は王様って呼ばれてるの知らないんですか?裸の王様みたいだからじゃないですかね。あっ…怒らせちゃいました?』
東郷「ブラビッシーモ!最高に嫌な女だな!」
そう何かを叫びながら私に近付いてくる。
東郷「俺と結婚してくれ」
『えっ?」
東郷「結婚しよう」
『……はぁっ!?』
どういうこと!?何考えてるのこの人。私は訳が分からず目を見開く。
ほんと、訳が分からない。
雄也side
「おかえりなさい」
『うん…」
「またクビくらったのか?」
「シー」
「じゃあ七海のご飯持ってくるな」
そう言い、父ちゃんは席を立った。チラ、と姉ちゃんを見る。クビをくらったにしても、どこか浮かない様子で……。
『何よ』
雄也「いや?なにも?」
自分の姉ながら、美しいと思ってしまった。
思いっきり美人で、思いっきり不幸な女。
それが俺の姉ちゃんなんだ。
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作者名:なな姫 | 作成日時:2023年6月2日 22時