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ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……
涼介「A……」
あれからAは、集中治療室に入れられた。俺は青白い顔をしているAを見つめる。世間ではAのニュースで持ち切りだ。
“女優の水瀬Aが姫野容疑者に包丁のようなもので刺され意識不明の重体”
新聞や朝のニュース、それから雑誌にまでそう書かれていた。当面の間はドラマの撮影は中止。芸能活動も停止、とのことだった。
それは勿論、裕翔もそうだ。
裕翔に限ってはAを守れなかった責任を感じているのか、ジャニーズ事務所を辞める、とまで言い出した。それをメンバーが必死に止めた。今はなんとかみんな頑張っている。
知念も、裕翔も、BESTのみんなも。
ねぇ、A。
お前はみんなに愛されてるんだよ。
お願いだから。
俺を置いていかないでよ。
涼介「目ぇ覚ませ……っ、馬鹿A……っ!!」
Aの手を優しく握る。
俺が芸能界に入らなければ、Aはこんな目に合わずに済んだのか。
そんなことが脳裏を過ぎる。
宏太「山田、変なこと考えてるんじゃないだろうな?」
涼介「薮ちゃん……いつの間に」
後ろを振り向くと、メンバーの薮ちゃんが立っていた。Aの大ファンである薮ちゃんは、いつもAのことを可愛がっていた。
宏太「これはお前のせいじゃない」
涼介「……でも、薮ちゃん。みんなはそう言ってくれるけど、心の中の声が言うんだ。“お前のせいだ”“お前がやったんだ”って」
宏太「山田……」
涼介「Aがこうなったのは……っ、俺のせいなんだ……」
宏太「……っ」
薮ちゃんが俺のことを優しく抱き寄せる。それがとても温かくて、俺は泣いてしまった。最近泣くことが増えた。
俺は本当に病気が治るのか。
Aは今どうしているのか。
ーーりょーちゃんーー
涼介「A……っ」
宏太「今は思い切り泣け。俺の胸貸してやるから」
薮ちゃんはこういうところが格好良いんだよな。俺にはない格好良さ。
俺は子供みたいに声をあげて泣いた。
薮ちゃんはその間、何も言わずただ胸を貸してくれた。
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凛音(プロフ) - 楽しく読ませてもらいました!次回作のアンケートに答えてきます! (2023年4月14日 13時) (レス) @page50 id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - はい!次回作の方も是非読まさせていただきます!! (2023年4月11日 22時) (レス) id: 94048c48c4 (このIDを非表示/違反報告)
なな姫(プロフ) - 近々執筆開始致しますので、その時はまたご愛読のほどよろしくおねがいします! (2023年4月11日 7時) (レス) id: cf5c6ec2c3 (このIDを非表示/違反報告)
なな姫(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます!そのように言っていただけて光栄です!プライベートで弱々になる山田涼介が居ても良いんじゃないか!と思い執筆いたしました。次回作はまだ頭の中で構想を練ってる途中です。 (2023年4月11日 7時) (レス) id: cf5c6ec2c3 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - 主人公ちゃんと涼介の2人はどうなるのか。またはいつくっつくのかが楽しみで楽しみでしょうがなかったです♪ (2023年4月10日 22時) (レス) id: 94048c48c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな姫 | 作成日時:2023年3月6日 16時