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『綺麗だね、桜』
涼介「うん、」
侑李くんから電話をもらったのが今年の1月。
ーーえ、……突発性難聴?涼介が?ーー
侑李ーーうん。去年の12月、急に耳が聞こえなくなったらしくて。涼介ってさ、病院行かないじゃない?嫌いだし、出来れば行きたくない、みたいな。だから僕達説得したんだよ。今のそんな姿Aちゃんがみたら心配するよ???って。そしたら、めちゃくちゃ泣きそうな顔したんだよねーー
“やっぱり二人はお互いに特別な存在なんだね!”
侑李くんにそう言われ、胸が少しドキリとした。改めて涼介を見る。久しぶりに見た涼介は少し痩せ細ってて儚く感じた。
涼介「……ごほ、」
『大丈夫?病室戻る?』
涼介「大丈夫。乾燥してるから咳き込んだだけだよ」
『本当に?』
病院の中庭には人が私達以外おらず、とても静かで過ごしやすかった。二人でベンチに座って話したりしていた。昼下りの暖かい時間。小鳥がさえずり、優しい光りが私達を包み込む。
涼介「……、俺さ、Aがいない間、ぽっかり心が空いたような……そんな感じなんだ。家に帰ってもAは居ないし、とても、………っ、寂しかったんだ、」
『りょーちゃん………』
涼介「……っごめん、こんな俺、らしくないよね、」
私がアメリカに行ってる間に涼介に何があったのか私は知らない。いつも格好良くて自分に厳しくてストイックな彼。そんな彼が、こんなに弱るなんて。
『……私も、りょーちゃんと同じだよ。アメリカに行って、環境が変わって、毎日が目まぐるしくて……。仕事が楽しくて。でも心の何処かでは何かが足りなくて』
涼介「……」
『仕事でちょっと辛いことがあった時、思い浮かんだのがりょーちゃんの顔だった』
涼介「A………」
涼介の右手が、私の左手を優しく握る。私も握り返して、お互いに見つめ合う。
寂しかった、りょーちゃんが居ないのが。
『でも、これからはずっと一緒に居られるね』
涼介「……っ、うん、」
『早く病気治してね。りょーちゃんのこと、待ってるから』
涼介「おう、……待ってろ」
ニカッと笑う涼介の顔は、前みたいな自信溢れた顔だった。
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凛音(プロフ) - 楽しく読ませてもらいました!次回作のアンケートに答えてきます! (2023年4月14日 13時) (レス) @page50 id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - はい!次回作の方も是非読まさせていただきます!! (2023年4月11日 22時) (レス) id: 94048c48c4 (このIDを非表示/違反報告)
なな姫(プロフ) - 近々執筆開始致しますので、その時はまたご愛読のほどよろしくおねがいします! (2023年4月11日 7時) (レス) id: cf5c6ec2c3 (このIDを非表示/違反報告)
なな姫(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます!そのように言っていただけて光栄です!プライベートで弱々になる山田涼介が居ても良いんじゃないか!と思い執筆いたしました。次回作はまだ頭の中で構想を練ってる途中です。 (2023年4月11日 7時) (レス) id: cf5c6ec2c3 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - 主人公ちゃんと涼介の2人はどうなるのか。またはいつくっつくのかが楽しみで楽しみでしょうがなかったです♪ (2023年4月10日 22時) (レス) id: 94048c48c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな姫 | 作成日時:2023年3月6日 16時