●目覚め、そして…… ページ39
喜多見「Aさん、おはようございます」
朝8時。仕事に行く前に、ICUに寄るのが最近の日課になっていた。Aさんが目覚めなくなってから1週間が経った。
千住ーー優斗は、Aをお前に託したんだ。”Aをよろしくな“って。”共に生きろよ“って。どんな困難さえも乗り越えてきたお前らだ。だから、お前らなら大丈夫だよーー
千住ーー約束しろ。これから先、何があっても、Aの事は死んでも守れーー
千住の力強い言葉に、俺は救われた。
Aさん。貴女は1人じゃないんだよ。
優斗さんに、千住さんに、涼香に、MERの皆だって。
月島さんもたまに来ているそうだ。
貴女は1人じゃない。
沢山の人達に愛されてるんだよ。
喜多見「だから、……起きてください。貴女がいない部屋は、とても寂しい……俺は、貴女がいないと生きていけないんですよ……」
そう言いながら、彼女に口付けをした。
『………ん、』
喜多見「A、さん……?」
Aさんの目がゆっくりと開かれる。
『………こう、た、さん……?』
喜多見「………っ、お帰りなさい……!!」
俺はAさんを抱き締めた。
『……ただいま、幸太さん』
ーーあれから1ヶ月後ーー
「特に体の異常もありませんし……。明日退院でも良いでしょう」
喜多見「『本当ですか!?』」
Aさんは奇跡的な回復をみせ、その回復力は担当医師も驚くほどだ。
「それにしても、貴女は凄いですね」
『凄い、ですか?』
「えぇ。1ヶ月前は本当に危ない状態でした。危篤状態で、いつ死んでもおかしくない状態だった。だけど、目覚めてからの貴女は素晴らしい回復力でした」
喜多見「………」
「“生きたい”と言う気持ちが、強かったのでしょう」
次の日。
彼女は退院した。
『ふふ。やっぱり幸太さんの隣は落ち着きますね』
喜多見「Aさんが退院して良かった」
『明日、MERに寄ります。皆さんにもご迷惑おかけしたと思うので……』
喜多見「ですね」
Aさんと歩く帰り道。俺達の横を、子供が走り去る。
喜多見「………」
『幸太さん?』
喜多見「Aさん。これから先、何があっても、貴女の事は俺が守ります」
『………』
喜多見「だから、俺と………結婚、してください」
『はい。貴方となら、何処までも』
Aさんはそう言い、優しく、ふんわりと笑った。
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なな姫(プロフ) - cocoaさん» コメントありがとうございます。読んだのはこの“日常”だけですか?それとも“恋愛事情”を読んでのコメントですか?もし“日常”だけでしたら“恋愛事情”も是非お読みください。 (2023年5月4日 6時) (レス) @page26 id: ab2f7862d7 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - また続けてのコメントですみません。。。 ●嫉妬のここの部分 ○○←名前さんとのわだかまりが解けたのか。それとも、音羽先生が自分の事を全て話し謝罪して、○○←名前さんの許しが得たのか これ正しくは許しを得たのかではないんでしょうか? (2023年5月4日 1時) (レス) @page7 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - 続けてのコメントですみません。。。 次の○風邪で優斗さんは主人公ちゃんのお兄ちゃんで。。。 でも何故お兄ちゃんなのに名前呼びしかもさん 付けで。。。 (2023年5月4日 1時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみませんm(._.)m 物語読んでいて疑問に思ったのですが。。。 ●マンション見学の時に優斗さんって主人公ちゃんが呼んでいたのでてっきり元彼さんなのかなぁと思っていたら (2023年5月4日 1時) (レス) @page4 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
わたがしサブ(プロフ) - 完結おめでとうございますこれからも応援します (2021年9月23日 19時) (レス) @page42 id: ad542db2d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななこ | 作成日時:2021年9月11日 18時