喜多見チーフとの日常

●ゆく年くる年 ページ20

〜♪


喜多見「おっ。始まりましたね」

『今年はどっち勝ちますかね』

喜多見「さぁ……どっちですかねぇ」

Aさんと夕飯を食べながら紅白歌合戦を見る。今日は12月31日。大晦日。クリスマスで賑わっていた街中も、今はお正月一色。


アメリカにいた時はあまりそう言うものは感じなかったが、日本のイベント事に対する精神はホントに素晴らしいと思う。


大晦日である本日と、1月1日、そして2日、3日の三賀日は、MERはお休み。家族や大切な人と過ごす様に、との都知事からの命令だ。


『ふふ……』

喜多見「どうしました？」

『そう言えばこの前、匠海君が“店長俺に良い人紹介してください！”って言って来て……』

喜多見「匠海君……。あぁ、あの大学生のバイトの子ですか？」

『はい。そしたら一緒にいた茉莉ちゃんが“アンタは確かに優良物件だけど、チャラいから嫌！”って言ってて……』

喜多見「あはは………」

女性の意見は厳しいな。俺は匠海君、結構好きだけどな。働き者で、明るいし。なんだか徳丸君みたいな。そんな感じ。

『あ、紅組の大トリですよ！』

喜多見「おー。やっぱりこの人の衣装はいつも派手ですね」

『出て来る時、思わず拍手してしまいますよね！』

喜多見「確かに」

そんな他愛もない会話をする。

勝ったのは白組だった。紅白が終わり、番組は“ゆく年くる年”へ切り替わる。

喜多見「初詣、行きますか？」

『んーー。明日にします』

喜多見「そうですね」

コンビニで買った蕎麦を食べながら、ゆく年くる年を見る。

そして

喜多見「『明けましておめでとうございます』」


年が明けた。


それと同時に近くの寺の鐘がゴーン、と鳴り響く。


『ふわぁぁぁ……』


喜多見「眠そうですね」


『幸太さん………』


喜多見「はい？」


『………、私、幸太さんに出会えて幸せです………』


喜多見「俺も。幸せですよ。毎日が愛しくて愛しくて。貴女の隣で、来年も再来年も、笑い合いたい」


『………』


喜多見「Aさん？」


『……クー、クー』


寝たのか。俺も眠くなってきた。


喜多見「Aさん、歯磨きしないと虫歯になりますよ」

『んー、……じゃあ、もってきてください……』


喜多見「はーい」


ゆく年くる年。


大切な人と


これから先も


ずっと一緒に。

○イチャイチャ(甘々)→←○クリスマス

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す