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煉「君が言っていたヒノカミ神楽について何か……記されているかもしれない」
炭「煉……煉獄さん!もういいですから」
『呼吸で止血してください。傷を塞ぐ方法はないですか?』
二人が泣きながらそう言う。
煉「無い。俺はもう、すぐに死ぬ」
炭「『っ!!』」
Aと炭治郎の顔が悲しみに歪む。その隣で伊之助も体を震わせていた。
煉「喋れるうちに喋ってしまうから聞いてくれ。弟の千寿郎には自分の心のまま正しいと思う道を進んでほしい。父には体を大切にしてほしいと」
杏寿郎は一呼吸置くと
煉「それから、竈門少年」
と、炭治郎に呼びかけた。
煉「俺は君の妹を信じる」
炭治郎が両目を見開く。
煉「鬼殺隊の一員として認める。汽車の中であの少女が血を流しながら人間を守るのを見た。命をかけて鬼と闘い、人を守る者は誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だ。胸を張って生きろ」
炭『「……うっ、……うっ、う、……」』
Aと炭治郎の両目に新たな涙が浮かび上がる。
涙が止めどなく流れ出る。
伊之助が必死に堪えながら激しく両肩を震わせている。
煉「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け。君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない。共に寄り添って悲しんではくれない。……A」
杏寿郎は視線を炭治郎からAにうつす。
『……っ、はい……』
煉「A。初めて会った時はあんなにか弱くて泣き虫な女の子だったのに、自身の呼吸を極めて更に強くなった。だが、泣きたい時は泣いても良い。君の心には俺がいる。宇髄がいる。不死川がいる。君はもう、一人じゃない」
『煉獄さん……!』
煉「俺がここで死ぬことは気にするな。柱ならば後輩の盾となるのは当然だ。柱ならば誰であっても同じことをする。若い芽は摘ませない」
『嫌……っ、!!嫌だ……!!』
煉「竈門少年。猪頭少年。黄色い少年。……そして、A。もっともっと成長しろ。そして、今度は君達が鬼殺隊を支える柱となるのだ。俺は信じる。君達を信じる」
杏寿郎は
晴れやかな笑みを浮かべ
その笑顔を最後に、炎柱・煉獄杏寿郎は息絶えた。
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ななこ(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます!ドラマCDの胡蝶姉妹、良い話ですよね(泣)分かりました!書かせていただきます! (2022年1月31日 22時) (レス) id: f3c05740c2 (このIDを非表示/違反報告)
melody(プロフ) - はじめまして!読ませて頂きました。続きがとっても気になります。更新楽しみにしてますのでよろしくお願いします。 (2022年1月31日 21時) (レス) @page38 id: 648912d438 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - ドラマcdで胡蝶三姉妹のような宇髄家の過去の日常をリクエストします! (2022年1月31日 21時) (レス) @page38 id: baa6bfc0d1 (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - 月の舞さん» コメントありがとうございます!キメツ学園はいつか書こうかな、と思ってたので、番外編みたいな形で書かせていただきます!これからも応援よろしくお願いします! (2022年1月31日 19時) (レス) id: f3c05740c2 (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ななこさん» 無限列車編 終わりましたね…。いよいよ遊郭編か、楽しみです‼️リクエストいいですか?キメツ学園編も見てみたいなぁ〜。遊郭編の後でも構いません💦 更新頑張ってください‼️応援してます (2022年1月31日 12時) (レス) id: 6295bdffb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななこ | 作成日時:2022年1月12日 14時