泣き虫継子 弐【宇髄天元】

17.11 ページ23

『(どうすれば夢から目覚められるの？)』

Aは夢から目覚めようとしていた。だが戸惑っていた。どの様に起きれば良いのか分からないのだ。

『炭治郎……、伊之助、善逸、煉獄さん……！！禰豆子ちゃん……っ！！』

仲間達の名前を叫びながら林道を走る。

『(私は今眠っているだけなの？全集中の呼吸は出来てないの？)』

鬼の”音“がどんどん強くなってる。


と、その時。

『っ！？！？』

Aが着ている着物が自然に燃えた。

『(この血……、もしかして、禰豆子ちゃん！？)』

この禰豆子の燃える血によって、Aは夢から目覚めた。


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『うあああああ！！』

飛び起きるとそこは、何かの肉の塊の中だった。Aは瞬時に理解する。


煉ーーもっと強力な、得体の知れない鬼が何処かに潜んでいるーー


今朝、杏寿郎が言っていた言葉を思い出す。得体の知れない鬼が何処かに潜んでいる。汽車全体が”鬼“だとしたら……。


『(乗客を守らないと……っ！！)』

伊「獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂き！！」

『伊之助！』

Aが日輪刀を構えていると伊之助がやって来た。だが伊之助はこちらに見向きもせず、鬼の肉の塊を次々斬っていく。

『ふーー……』

Aは深呼吸する。今こそ、”歌の呼吸“を試す時。

『歌の呼吸参ノ型 贖罪！！』

Aは体勢を低く構え、鬼の触手を下から上に斬った。

禰「むー！」

『禰豆子ちゃん！ありがとう、起こしてくれて』

駆け寄ってきた禰豆子の頭をAは優しく撫でる。善逸や杏寿郎がまだ眠っている。

『炭治郎は？』

Aがそう問うと、禰豆子は先頭車両を指さした。炭治郎は先頭車両にいる。

『禰豆子ちゃん。炭治郎のところ行ってくるから、ここをお願いしても良いかな』

禰「むー！むー！」

『ありがとう！』

Aは禰豆子を抱き締めると、炭治郎の元へと走り出した。

『(師範……っ、師範、どうか力を貸してください……！！)』

Aは今ここには居ない天元の事を思い浮かべ、汽車の中を走っていた。襲いかかってくる触手を斬りながら炭治郎のもとへ向かう。

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