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母「今日はAが好きなみたらし団子を作ってあげるわね」
『やったー!!』
父「Aは本当にみたらし団子が好きだな」
両親の笑い声が家の中に響く。兄弟がいないAだが、それでも両親がいるだけでこの上なく幸せだった。
母「じゃあ、みたらし団子作ってる間に、お風呂の準備してくれる?」
『うん!分かった!!』
Aは元気良く家を飛び出す。
『〜♪』
機嫌が良いのか、鼻歌も歌う。そこに村の男の子達がAの前に立ちはだかる。
男の子1「おい、泣き虫!」
男の子2「ここを通りたければ俺達と勝負だ!!」
『Aは泣き虫じゃないもん!』
男の子3「俺この前見たぞ!お前が町で泣いてたの!」
『……っ、泣き虫、じゃない……!!』
男の子達の言葉に、強がっていたAの語尾がだんだん弱くなる。すると男の子達はニヤニヤ笑いだした。
男の子1「ほーら!泣き虫じゃねぇか!」
男の子3「泣き虫!」
『違う……っ、私は……っ師範の……!!』
と、言いかけたその時。
父「こら!またお前達か!!」
男の子2「ゲッ!泣き虫の親だ!逃げろーー!!」
Aの父親がやって来て男の子達を追い払った。Aは自分の言葉に戸惑っていた。
『(”師範“?………”師範“って、誰?)』
父「A。大丈夫か?」
『うん。……ありがとう、お父さん』
父「お父さん、これから仕事に行くから、お母さんと留守番よろしくな」
『うん!行ってらっしゃい!!』
父を見送り、山道を歩き出した。Aの父親・正孝は鋳掛屋(いかけや)だった。鋳掛屋とは、鋳掛を行う職人のことで、鋳造された鍋、釜などの鋳物製品の修理・修繕を行う職人の事である。
Aの母親・沙苗もまた和裁をしていた。和裁(わさい)は「和服裁縫」の略語であり、和服を制作すること、またその技術のことを言い、Aが着ているこの着物も沙苗が作ったものだ。
決して楽な暮らしでは無かったが、それでもAは幸せだった。
『っ!?』
木の枝に三人の人影が見えた気がした。
三人共シルエットが女性だった。
『(何だったんだろう、一瞬。人?猿?)それとも見間違い……』
戸惑いながら桟橋へ向かうと、桶を川の水面につける。
すると
”起きて!“
と川の中から声がした。Aは驚いて水面を覗き込む。
”起きて!!“
そこには、懸命に叫ぶ己の姿があった。Aは水中に引きずり込まれる。
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ななこ(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます!ドラマCDの胡蝶姉妹、良い話ですよね(泣)分かりました!書かせていただきます! (2022年1月31日 22時) (レス) id: f3c05740c2 (このIDを非表示/違反報告)
melody(プロフ) - はじめまして!読ませて頂きました。続きがとっても気になります。更新楽しみにしてますのでよろしくお願いします。 (2022年1月31日 21時) (レス) @page38 id: 648912d438 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - ドラマcdで胡蝶三姉妹のような宇髄家の過去の日常をリクエストします! (2022年1月31日 21時) (レス) @page38 id: baa6bfc0d1 (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - 月の舞さん» コメントありがとうございます!キメツ学園はいつか書こうかな、と思ってたので、番外編みたいな形で書かせていただきます!これからも応援よろしくお願いします! (2022年1月31日 19時) (レス) id: f3c05740c2 (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ななこさん» 無限列車編 終わりましたね…。いよいよ遊郭編か、楽しみです‼️リクエストいいですか?キメツ学園編も見てみたいなぁ〜。遊郭編の後でも構いません💦 更新頑張ってください‼️応援してます (2022年1月31日 12時) (レス) id: 6295bdffb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななこ | 作成日時:2022年1月12日 14時