泣き虫継子 弐【宇髄天元】

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鬼の咆哮が、A達の恐怖心を煽る。だが杏寿郎はそれに怯まず自らを低く構えた。

煉「炎の呼吸壱ノ型 不知火！！」

自身が一筋の炎になったかのような杏寿郎の一撃に、鬼の頸が飛ぶ。

『(凄い……。さすが煉獄さん……)』

たまに稽古を見てもらっていたAも、改めて杏寿郎の強さを目の当たりにし、ほう……と息をもらす。炭治郎も一撃で鬼の頸を斬った杏寿郎の強さに声をもらしていた。

周りの乗客達は突然の出来事にざわついている。杏寿郎は鋭い目付きで前方の車両を見つめた。

煉「もう一匹いるな。着いてこい！」

『はい！』

伊「うおおー！」

善「お、おいて行くなよぉ〜！」

杏寿郎の言葉に、四人は後に続く。

『っ、』

杏寿郎が前方の車両に着くと、そこは鬼から逃げて来た乗客達でごった返していた。Aは一瞬怯むも、すぐさま日輪刀を構える。

杏寿郎の言った通り、もう一匹鬼がいた。鬼の先には逃げ遅れた乗客が動けずにいた。

煉「その人に手を出すことは許さん！」

『煉獄さん……』

煉「聞こえなかったのか？お前の相手はこっちだと言っている」

炭治郎と伊之助がそれぞれ杏寿郎の横に並び日輪刀を構える。Aも炭治郎の後ろに立ち鬼を睨み付ける。

善「何ですかアレ？長っ！手、長いんですけどぉ〜！！」

伊「よっしゃ、先手必勝ォ！！」

と、伊之助が勢い良く飛び出した。

『伊之助待って！逃げ遅れた人が居るのよ！』

伊「ぶっ倒しゃあ問題ねぇ！！」

Aの制止を効かず、伊之助は鬼に攻撃を仕掛ける。だが、鬼の攻撃により伊之助は殺られそうになる。

『伊之助！！』

杏寿郎よりAが先に動いた。伊之助を攻撃から救うと、近くの椅子へ放り投げ、着地と同時に身を翻し鬼の攻撃を避けながら男性をも救った。

『奥の車両は安全です』

「う、うう……」

煉「うむ！さすがAだな！」

一連の行動に杏寿郎がAを褒める。そして自身も再び鬼に向き直った。

煉「これで問題ないな！手短に終わらせよう！」

低い唸り声を上げながら鬼がこちらへ襲い掛かってくる。

煉「炎の呼吸弐ノ型 昇り炎天」

杏寿郎は下から上へ日輪刀を振り上げ、鬼の頸を刎ねる。

杏寿郎の背中が

とても大きく感じた。

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