4人目の嫁は鳴柱様【無限列車編】 (ページ9)

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捌ページ9

『ここは………』

Aはゆっくりと閉じた目を開けた。寝起きなので頭がぼんやりしている。視界が分かるようになると、辺りは真っ暗なことに気付く。

ジャラ……

体を動かすと、金属音特有の重たい音がした。自分は鎖に繋がれているのだ、と気付いた。そして、背中に鋭い痛みが走った。

『(あぁ、そうか………。私は天元を庇って……)』

そうだ。己は宇髄一族との任務で天元を庇って負傷したのだ。その罰として、己の父に監獄された。首に鎖を繋いで逃げられないように。

天元はAにとって光だった。過酷な毎日。自分を含め８人の兄弟がいるが、今はたったの４人。皆任務で殉職した。誇らしい兄弟だった。３つ離れた弟の春信はとても可愛らしく人懐っこい素直な弟。その性格故に感情移入してしまい、忍びに向いていない。

かたや５つ離れた兄は父の背中を見て育ったため、言動も父と同じ。部下は駒としかみていないのだ。

そんな家系に育ったのか、Aはいつしか天元と共にこの里を抜け出そうと考えていた。だが、その肝心な天元に、もう会えない。

そう思っていた。

宇「Aっ!AAAっ!」

『そんなに呼ばなくても聞こえてるわよ』

宇「………会いたかった……っ!」

『私もよ。天元』

一眞の計らいで、天元と会えたのだ。この上ない幸せ。暗闇の中で涙を流す天元。その涙は見えないが、とても美しいものだろう。

天元の気配がそばで感じる。

Aはそっと天元の背中に腕を回した。

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「ねんねんころりねんころり」

列車の上で魘夢が不気味な子守唄を歌う。

「息も忘れてこんころり。鬼が来ようがこんころり。腹の中でもこんころり」

魘夢はそう歌いながら不気味に嗤う。

「楽しそうだね。幸せな夢を見始めたな」

(堕ちていく)
金髪の女性と銀髪の男性が暗闇の中で抱き合っている。

(堕ちていく)
場面は変わり、花畑へ。そこはさきほどとは違い、明るく輝かしい場所。

(夢の中へ)
そこに２人が到着。寝転がって将来の話しをする。

「深い眠りだ。もう目覚めることは出来ないよ」

魘夢は目を細めて笑った。