弐 ページ3
杏「うまい!うまい!うまい!」
『…………、』
杏「うまい!」
Aと杏寿郎は、任務のため列車に乗っていた。杏寿郎は列車の中で牛鍋弁当を、Aはシュウマイ弁当を頼んだ。弁当は確かに美味しかった。だが杏寿郎は、一口食べるたびに「うまい!」と己の感想を述べるのであった。
そして杏寿郎のところには弁当箱が何個も積み重ねられていた。
『はぁ………』
杏「うまい!」
『杏寿郎、少し静かにしなさい』
杏「うまい!うまい!」
この男は人の話しを聞かない。Aは外を見た。駅には人がたくさんいた。老若男女。列車の中も平穏そのものだ。
『(鬼なんて、ホントにいるのかしら)』
ガタン、
列車が動いた。長い長い夜の旅の始まりだ。
『杏寿郎。少し席離れるから。ここに居てね』
杏「うまい!」
分かったのか分かってないのか。Aは席を立った。汽車の中を探索しに行くのだ。この車両は八両編成。前方に石炭が積まれている。不審な点は一切ない。
乗客は200人ほど。鬼が出た場合、果たして2人で200人の乗客を守りながら戦えるのか。だとしたら、どのような作戦が良いのか。相手がもし十二鬼月だとしたら、階級はどのくらいか。血鬼術は何か、など。
未知の鬼。十二鬼月。乗客を守りながらの戦闘。
『(………この列車に鬼が出る。このことを頭に入れておく。考えながら任務遂行)』
杏寿郎もいるのだ。2人で力を合わせて戦えば良い。Aはそう思い、踵を返した。
『あら。炭次郎、伊之助、善逸じゃない』
炭「稲妻さん!」
伊「ぬお!雷女!」
善「だから、Aさんだって言ってるだろ!」
自分の席に戻ると、炭次郎、伊之助、善逸が席に座っていた。杏寿郎の隣に炭次郎が座り、こちらを見ている。
炭「お久しぶりです!」
『久しぶりね』
杏「Aさん!何処に行っていたんだ!」
『だから、席離れるって言ったじゃない』
杏「そうか!」
はぁ、とため息をつき、Aは炭次郎の前に座った。Aの横には禰豆子が入っている箱が置かれていた。
炭「すみません。そこに置いてしまって」
『良いのよ。それより、あなた達はどうしてここにいるの?任務?』
炭「はい。鎹鴉からの伝達で、無限列車の被害が拡大した、現地にいる煉獄さんと稲妻さんと合流するように、と命じられました」
炭次郎は背を伸ばしてそう答えた。
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作者名:ななこ | 作成日時:2020年12月28日 16時