378:痛みを知る者達 ページ28
A side
私が返事を返しても、
彼女はただ啜り泣いていた。
そうしてしばらくすると、
落ち着いて来たのか彼女は私から離れた。
『....ごめんなさい、泣かせたりして。』
***「.......フウよ。」
『....ふう?』
***「.....私の名前。」
....何と、まさか名前を教えて貰えるとは...
『...フウちゃんと言うんですね、
私はAと言います。』ニコッ
フウ「....A、
そこの裏口から真っ直ぐ東に行くと、
さっきの骨男の家に行けるわ。
兄さん達が戻って来る前に逃げて。」
『!?.....逃がしてくれるの...?』
フウ「....私には出来ない。
さっきも貴女を コロ そうとした時、
本当は手が震えてどうしようもなかった。
兄さん達は何度も
瀕死のニンゲンを寄越したけれど、
...私には出来なかった...
兄さん達と私は違う....
同じ痛みを知る相手を手にかけるなんて私には..」
そう言うフウの手は小刻みに震えている。
....こんな心根の優しい子に コロ せと言うのは
彼女も...
お兄さん達も。
どれだけ辛い事なのだろうか。
『....でもそんな事したら』
フウ「いいから早く!!
父さんと兄さん達には上手く誤魔化しておくから
もう行って!!」グイッ
ーーーーーーーガシャーーンッーーーーー
フウ「!な、何ッ!?」
『!!』
フウが私の手を引くのと、
小屋の外から爆音がしたのはほぼ同時だった。
子狼「フウ逃げろ!猫のバケモンが!!」
子狼「フウ!!」
ーーーーーードガァァアアアンッーーーーー
子狼達がフウの方へと向かったが、
突然天井が切り裂かれ
小屋は全壊した。
私はフウが抱えて飛び退いてくれたおかげで
小屋の下敷きにならずにすんだが、
何故かフウは直後、地面に踞った。
どうしたのかと思い様子を見ると、
何とフウの肩からは血が流れている。
『!?大変、血が!?』サッ
フウ「..グゥッ..アイツに...切られた...!」ギッ
フウは小屋があった方を睨んでいる。
その視線を追うと、そこには
ニンゲンの大人の3倍はある猫がいた。
猫と言っても、
それは後ろ足だけで立っているので、
もしかしなくてもモンスターなのだろう。
目は血走り、牙がギラつく口からは涎が垂れ
呼吸も荒いその猫は、
まるで狂ったような笑い声を上げた。
化猫「ギャハァァアハハハハハハ!!!!
まだこんな所にEXPがいたとは!!
今日は運がいい!!!」
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安い麦茶( ^-^)_旦〜 - これでも兄弟なんだよなぁ。Fell兄弟。 (2022年10月8日 9時) (レス) @page40 id: 7220adac43 (このIDを非表示/違反報告)
Murder(プロフ) - ワオ。同化。。化猫恐ろし (2022年10月7日 16時) (レス) id: 4f353dd96c (このIDを非表示/違反報告)
EDD♚ - えっ………ええええええ⁉(なんだこいつ) (2022年10月7日 12時) (レス) @page36 id: 1e11c6997e (このIDを非表示/違反報告)
安い麦茶( ^-^)_旦〜 - 尻尾、太いのかな?触りたい。 (2022年10月7日 7時) (レス) @page35 id: 7220adac43 (このIDを非表示/違反報告)
シャルロット君 - あの化猫が服従!?!?( 'ω')ギャァァァァァァ!いいね、モフりてぇ… (2022年10月7日 6時) (レス) @page35 id: 7e7a54307b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒猫軍曹 | 作成日時:2022年9月30日 23時