No.7 ページ9
第1種目：50m走
「3秒04！」
爆音を響かせ、長身の眼鏡の青年がゴールした。
【飯田天哉“個性”「エンジン」】
自分が走る番となった時、Aは小さな声で呟いた。
『…“アザゼル”、脚力を強化』
するとAはまるでスタート地点からゴールまで瞬間移動したかのようなスピードで50mを完走した。
「2秒38！」
「に、2秒台！？すげぇ！！」
前髪が尖ったような赤髪の人に褒められたので、会釈だけ行う。
いろんな人達が己の個性を上手く使って優秀な記録を出している。
【麗日お茶子“個性”「無重力」】
【青山優雅“個性”「ネビルレーザー」】
個性を最大限に使い、各記録の伸び代を見れば「何ができて、何ができない」かが浮き彫りになる。
それは自らを活かす、創意工夫へと繋がる。
「7秒02！！」
しかしその中には、個性の都合上この種目では発揮できないものもいた。
Aは爆発個性の男の子と一緒に走っていた、もふもふ頭の少年を見る。
息が上がっていて、どこか追い詰められた顔をしている。
『(...悪くない結果だけど、何の個性も出さなかったよなぁ、あの人)』
近づいて彼の肩を軽く叩いてみる。
『ねえ、』
「へあ！！？」
驚かすつもりはなかったが、彼はとても過剰な反応をして驚いていた。
なんだか顔が赤いように感じる。
というか「へあ」とは...？
『ごめんね、驚かせて。顔面蒼白君』
「“顔面蒼白君”！？」
『君の名前知らなくて』
すると彼、緑谷出久君はなんだかぎこちない笑顔で自己紹介をしてくれた。
『じゃあ緑谷君。どうしてそんなに顔色悪いの？』
尋ねると、緑谷君は途切れ途切れに言った。
「...えっとね、僕の個性がね、強力でまだ慣れてないっていうか、調節が全くっていうか。…負担がすごく大きくて、一度使ったらそれだけで行動できなくなっちゃうんだ。でもこのままだと最下位になる…」
『...ふーん、どんだけ強力な個性なんだろ』
彼の話にAは少しだけ興味があった。
〈強力で負担が大きく、調整が難しい〉
自分の個性と酷似しているものだと思ったから。
するとAはあることを閃く。
自分にとってつまらないこの授業が面白いものに変わるようなこと。
少しだけ緩みそうになった頬を抑えて、Aは言う。
『…ねえ緑谷君。ちょっとやってみたい事があるんだけど』
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すみれ汁 - ささくれさんコメントありがとうございます！面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！！これからもがんばりますね！ (2018年8月27日 22時) (
レス) id: 7a4e0b7ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ(プロフ) - すみれ汁さん» すごく面白いです〜！！面白すぎてもう続きが楽しみです！！更新頑張ってくださいー！！ (2018年8月25日 17時) (レス) id: 77996c6491 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - さーとうさんコメントありがとうございます！これからもいい小説が書けるように頑張ります！ (2018年8月9日 20時) (レス) id: a69c838f60 (このIDを非表示/違反報告)
さーとう - 更新楽しみにしてます！頑張ってください(о´∀`о) (2018年7月24日 12時) (レス) id: afcde5e08d (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - コメントありがとうございます！(*´ω｀*)これからも頑張ります (2018年6月10日 7時) (レス) id: 57b0dc252f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ汁 | 作成日時：2018年4月30日 23時
