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轟焦凍side
開いた口が塞がらなかった。
思わず叫んでしまいそうになった。
そして、すぐにこのドアを開けたことに後悔した。
扉を開けるとそこは実験室、人体実験が行われている場所だった。
自分と同い年くらいの子供たちが横たわっていて、子供たちの腕には数え切れないほどいくつものチューブに繋がれていた。
白衣を着た大人が子供たちに注射のようなものを打っている。
まだ幼い子供の断末魔が聞こえた。自分が立ち尽くしている今にも、子供達は死んでいった。
子供たちの中には、何も言わずに涙を流す少年がいた。
何かに取り憑かれているように大きな声を上げる少女もいた。
『逃げなければ自分も…』そんな考えがふとよぎる。
なのに、手も足も口もまるで自分のものじゃなくなったかのように動かなかった。
そんな自分の肩に鉄球でも置いたかのような、背後からずしりと重みがかかる。
「…なぁ、轟焦凍君。どうして君がここにいるんだ？」
背後にいたのはAの父だった。
No.3ヒーローである『カタストロフィ』。
天才であるAがこの世で唯一怯える存在がここにいた。
彼の笑顔からは表情が読み取れない。
恐怖で何も喋れない俺を見て、Aの父は肩を下ろす。
「困ったなぁ。客人の君にバレないよう、Aにしっかりと警告しておくように言ったのに」
「…あ……」
その人は、ヒーローには見えなかった。
悪魔のようだった。
現実に悪魔がいるのなら、こんな顔してるんだろうな、と思った。
「このまま君を帰すわけにはいかない。やっぱり、殺して…」
『待ってください』
澄んだ、よく通る声が聞こえた。
中々戻ってこない俺を心配してここまで駆けつけてきた、Aだった。
『…焦凍を殺すのはやめてください』
いつも余裕なAにしては珍しく、焦った顔でAは父に懇願する。
「…でもなぁ、A？お前のせいでこんな事になったんだぞ？本来ならお前に“処理”を命令することだが…あぁ、そうだ。お前が轟君の記憶を個性で、全て消し去ればいいじゃないか」
『……』
Aがこんなに感情的な顔をするのは初めてみた。
嫌だ、と言いたげな泣きそうな顔。
そんなAの感情を断ち切るようにAの父は拳をAに向かって振り上げた。
父親の暴力は一見、Aならば避けられる速さに見えた。
なのにAは素直に食らった。
「いいな？」
『……はい』
完全にAは、父親に屈服してしまっていた。
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すみれ汁 - ささくれさんコメントありがとうございます！面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！！これからもがんばりますね！ (2018年8月27日 22時) (
レス) id: 7a4e0b7ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ(プロフ) - すみれ汁さん» すごく面白いです〜！！面白すぎてもう続きが楽しみです！！更新頑張ってくださいー！！ (2018年8月25日 17時) (レス) id: 77996c6491 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - さーとうさんコメントありがとうございます！これからもいい小説が書けるように頑張ります！ (2018年8月9日 20時) (レス) id: a69c838f60 (このIDを非表示/違反報告)
さーとう - 更新楽しみにしてます！頑張ってください(о´∀`о) (2018年7月24日 12時) (レス) id: afcde5e08d (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - コメントありがとうございます！(*´ω｀*)これからも頑張ります (2018年6月10日 7時) (レス) id: 57b0dc252f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ汁 | 作成日時：2018年4月30日 23時
