No.15 ページ19
Aはある空間に一人立ちすんでいた。
白くて何もない空間。
Aの立つ位置だけが明るく周囲は暗いため、ここが何処なのか把握できない。
しかしAにはここが何かわかっていた。
Aの夢の中だ。
ここには、何度も来たことがある。
というか“連れ去られる”に近い。
『あ、またそのまま寝ちゃったんだ。
...ていうか、本当悪趣味ね。“アザゼル”』
彼の名前を呟くと、Aの目の前に黒い靄が発生する。
小さな靄はやがて大きく浸透し、人型へと変わっていく。
靄から、黒髪の赤い目をした神秘的な美しさを持つ、小さな少年が現れた。
10年前に、私と契約を結んだ悪魔。
驚くほどのことじゃない。
彼はいつも私の夢の中に入り込んでは私に話しかける。
その男は妖艶な笑みでAに笑いかけた。
「やあ、A。ふふっ、相変わらず君は何の欲も持たないし、魚が死んだような目をしているね」
『...失礼な〜』
アザゼルは嬉しそうに言う。
「でもね、そんな君でも人並みの欲はある。 それが今日、証明された」
『……』
「リカバリーガールとかいう治癒個性持ちのヒーローがいたにも関わらず、君は僕の力を求めた。
『他の誰かじゃなく自分が助けてあげたい』だって？はは、面白い。今までの君ならあり得なかった話だ」
「《醜い独占欲》。でも、僕らにとって“それ”は、本当に大好物だからさぁ」
アザゼルはそれが滑稽だとでも言うように、楽しそうに笑って言った。
本当に性格が悪い奴だ。
「そして君はまた次第に欲が増えて、だんだん僕と一体化していく。今日も君は一歩、僕に近づいた。これからもそれが、本当に楽しみ。君が望んでいなくても、そうなっていくのが本当に滑稽。ほらほら、A。もっと欲望を広げて？そして、早く僕と一つになろう」
相変わらずツラツラ話す彼に対して
『...そう言ってまた私の体を乗っ取ろうとしているだけじゃない。うるさいなぁ、早く寝るから邪魔しないで』
と言い、冷たい視線を向けると彼は
「...ふふふ、分かったよ。ご主人様」
また意味深な笑みを浮かべて、素直に暗闇の中へと消えていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれ汁 - ささくれさんコメントありがとうございます！面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！！これからもがんばりますね！ (2018年8月27日 22時) (
レス) id: 7a4e0b7ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ(プロフ) - すみれ汁さん» すごく面白いです〜！！面白すぎてもう続きが楽しみです！！更新頑張ってくださいー！！ (2018年8月25日 17時) (レス) id: 77996c6491 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - さーとうさんコメントありがとうございます！これからもいい小説が書けるように頑張ります！ (2018年8月9日 20時) (レス) id: a69c838f60 (このIDを非表示/違反報告)
さーとう - 更新楽しみにしてます！頑張ってください(о´∀`о) (2018年7月24日 12時) (レス) id: afcde5e08d (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - コメントありがとうございます！(*´ω｀*)これからも頑張ります (2018年6月10日 7時) (レス) id: 57b0dc252f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみれ汁 | 作成日時：2018年4月30日 23時
