No.9 ページ11
Aside
『私の個性を使いたい時は言って。君の合図に任せるよ』
そう言ったはいいものの、緑谷君は一切合図を出さなかった。
なので彼のスポーツテストの結果は平凡なものばかり。
緑谷君の最下位への道は近づく。
緑谷君の顔がさらに蒼白になっていく。
第5種目：ボール投げ
絶望的な状況は変わらないのに、私の個性に頼らない緑谷君を横目に見て、思わずため息をついた。
また、雄英の入試試験は本当に非合理的だなぁ、と思った。
あんなに個性を自由に扱えない緑谷君が名門校と呼ばれる『雄英』に受かってしまうとは。
彼の他にも優秀な人材はいたはずなのに。
『(…なんで受かったっていうのは自分を含めてなんですけどね)』
入試試験で、雄英に私が見初められたのは自分の力じゃない。父の存在だ。
彼に個性を粗方聞いたが、自分の個性は一発でKOということはまずありえないだろう。
あんなに不安定な使い方で受かるとは入試の時によほどの奇跡があったとしか思えない。
それにマグレは2度も続かない。
私の個性で今回は上手くいったとしても、今後の彼に見込みがあるとは思えない。
『(あの調子だと続かないな)』
でもなぜか、なぜか私は自分でもわからないまま、緑谷君の何かに期待をしている。
この気持ちが何なのか、自分で把握できない。
多分、私は緑谷君に憧れを持ったのだと思った。
幼い少年のように憧れた背中を追いかけようとしている彼の“目”に。
自分にはない緑谷君の強い“意志”に。
『(玉砕覚悟の全力か、安全を優先するか。
絶望的な状況で貴方はどっちを選ぶの？緑谷出久君)』
緑谷君はこちらに見向きもせずに、ボールを掴んで腕を振り上げた。
緑谷君の腕の筋肉が一気に膨らんだのがわかる。
『(...全力選んだか〜でもそれじゃあ、その後の種目に参加できなくなるよ)』
しかし筋肉の増強は一瞬で消え、緑谷君のボール投げの記録はまたしても平凡なものになった。
「46メートル」
おろろ？個性が消えた？
「つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう」
声の方へ目を向けると赤い目をした相澤先生が、緑谷君を睨んでいた。
「個性を消した。」
相澤先生はそう言った。
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すみれ汁 - ささくれさんコメントありがとうございます！面白いと言ってもらえてとても嬉しいです！！これからもがんばりますね！ (2018年8月27日 22時) (
レス) id: 7a4e0b7ca5 (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ(プロフ) - すみれ汁さん» すごく面白いです〜！！面白すぎてもう続きが楽しみです！！更新頑張ってくださいー！！ (2018年8月25日 17時) (レス) id: 77996c6491 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - さーとうさんコメントありがとうございます！これからもいい小説が書けるように頑張ります！ (2018年8月9日 20時) (レス) id: a69c838f60 (このIDを非表示/違反報告)
さーとう - 更新楽しみにしてます！頑張ってください(о´∀`о) (2018年7月24日 12時) (レス) id: afcde5e08d (このIDを非表示/違反報告)
すみれ汁 - コメントありがとうございます！(*´ω｀*)これからも頑張ります (2018年6月10日 7時) (レス) id: 57b0dc252f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみれ汁 | 作成日時：2018年4月30日 23時
