第八話 ページ8
「まったく…顕現の練習をしろと言われていたなら、先にそうやって言っておけば良いものを」
「…すみません…」
さんざっぱら疑惑の目を向けられたせいで胃が限界を迎えたのか、或いは初顕現の疲労がどっと押し寄せてきたのか。どちらが先かは分からないがまともに動けなくなったところで、歌仙はようやく観念してくれたのか、横になった自分を介抱しつつこんのすけから情報をかき集めてくれた。不甲斐ない主で申し訳ないと切に思う。
「霊力も平均的、特筆するような能力も経歴もなし。そんな状態で顕現を初めて行うとなれば、その分身体にも影響は出る。今日のところは休んだ方がいい」
「しかし、歌仙様。本日は函館への初陣の予定がございます」
「指揮をとるものがこんな様子で、此方もまともに戦いに出られるわけがないだろう。主人ともども、僕たちを使い捨てる気か」
こんのすけと歌仙の声が交差して聞こえる。そんなにまずい状況なのだろうか。此処一ヶ月で審神者についての一通りの知識は頭に入れたつもりだが、まだまだ勉強不足だったか。気持ちの悪さに眉を寄せつつ、だんだんと落ちてくる目蓋に必死に争いながら、小さく謝罪の言葉を口にした。
目蓋が落ちる直前、歌仙が少しだけ此方を見遣ったような気がした。
===
パチパチと、火が跳ねるような音が聞こえる。
浮上する意識と共に、身体が温もりに包まれていることに気がついた。眼を擦りながらようやく起き上がると、どうやら自分の身体を包んであったのは布団だということが分かった。そこまでしてハッと、先程(と言っても、主観的な時間ではあるが)のやりとりを思い出す。
「…そうだ、二人は…」
周囲を見渡せば、開け放たれた障子から縁側が見える。もうすっかり日が暮れているが、肝心の歌仙とこんのすけの姿が見えない。就任初日にして寝落ち経験というとんでもやらかしをしでかしてしまった胸中は安寧とはかけ離れており、慌てて起き上がり廊下に飛び出した。
「っと、廊下で走るなんて雅じゃないな」
「…っ！？」
と、思ったところで、眼前にヌッと自分よりも身の丈のある影が顔を出す。これまた慌てて足を止めると、探していた人物本人が溜息を吐きながら苦笑いを浮かべた。その手には盆と、更にその上に盛り付けられた御膳の姿があった。
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羅胤(プロフ) - 黎明さん» 黎明さん、コメントありがとうございます！まさかこんなに期間が空いてる中、待っていただけていたとは…恐悦至極と同時に、大変申し訳ないようにも…（ううむ）改めて更新に励ませていただきますので、これからも何卒よろしくお願いいたします。 (2021年4月24日 2時) (
レス) id: 37cf65dc3f (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - 初コメ失礼します！！更新ありがとうございます！初めてこちらの作品を読ませて頂いた時から更新されるのを楽しみにしていました！！これからも応援しています！ (2021年4月23日 23時) (レス) id: 6e1910104e (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！ ついに殿堂入りされたんですね！ おめでとうございます！！ これからもおからだに気をつけて、頑張ってください！ (2020年12月6日 21時) (レス) id: 1f4e240a3c (このIDを非表示/違反報告)
ﾊﾝﾃｽ@読専(プロフ) - 羅胤さん» そうなんですね!私も夢主ちゃんの姿創造しながら楽しみます!レスありがとうございました!m(_ _)m (2020年12月2日 15時) (レス) id: a78139392e (このIDを非表示/違反報告)
羅胤(プロフ) - ﾊﾝﾃｽ@読専さん» ハンテスさん、コメントありがとうございます！自分は夢主の姿が現実離れしていると萎えてしまうタイプなので、敢えて作者として書かずに読者の皆様に想像の余地として残しています。お好きなようにイメージしていただければと思います。ご質問ありがとうございました！ (2020年12月2日 15時) (レス) id: 6b5b4b25ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羅胤 | 作成日時：2020年11月27日 11時
