03 初めてのお味 ページ3
「ん？もしかして…初めて？」
「うん。
だからなんだか緊張してるのよね…笑」
「そんなに身構えないでいいぞ…笑」
コハクは
外食する習慣がほぼ無い環境で育ったからか
大人になって、今さら初めて入る外食店が
他の人よりも断然多かった。
連れていく度に
新しい場所ばかりのようで本人も楽しそうだし、
そんな姿を見られるのは連れていく身としても嬉しい。
「初めて入る飲食店って緊張しない？」
「何となくは分かる気もするけど…笑」
そう言いながらガラガラと音を立てて扉を開けた。
席へついて一呼吸置く。
「うっしーのおすすめは？」
「え？あ〜そうだなぁ…これとかどう？」
俺が来たら絶対に頼む物をおすすめした。
「じゃあこれとこれにしよっかな。」
タブレット端末を操作して注文リストに追加した。
コハクが頼んだのは俺のおすすめと
一番スタンダードなもの
俺はその後にタブレットを操作して注文を確定させた。
そしてここは何処かといえば
某焼き鳥チェーン店にやって来た。
少しだけ待つと
お待たせいたしました〜と店員さんが持ってきてくれた。
二人で軽くお礼を言って
店員さんがテーブルから少し離れたあと
コハクはかなり控えめの声でいただきますをして
おすすめを口に運んだ。
「…美味しい…。」
思わず感想が口からボソッとでた。
本当に美味しいみたいだ。
「そりゃよかった…笑
こっちも食ってみな。美味しいぞ。」
俺は自分で注文した串を指差した。
「え、良いの？じゃあこれと交換しよ？」
彼女が注文していた
一番スタンダードな串と交換することにした。
「全然良いのに…笑…サンキュ。
久しぶりにこれ食うわ。」
お互いに串を交換して口に運ぶ。
「さっきのより弾力あって全然違う感じ…
あと…これは…山椒…？」
「あ…メッチャ癖でかけてたわ…笑」
テーブルの上に備えてある
調味料を少しかけたものをコハクに渡していたようだ。
「うん。このピリッと感スッゴい好きやわ。
絶対ビール進むやつやん。」
「話分かるヤツいる！
流石にこれから撮影だし飲みはしねぇけど…
あ〜やっと理解者いた…」
俺はテンションが少し上がった。
「これはまた次来るときは夜だね…笑」
ニコッと笑っている彼女の横顔が見える。
そう。
今、二人で行動している理由は実写の撮影をするため。
このあとに撮影なのだ。
撮影の流れは考えてあるし、今は食べよう。
そう思いながら串についた肉を口に入れた。
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作者名：みこと | 作者ホームページ：http://なし)ー
作成日時：2022年6月14日 20時
