01 これからもどうぞ ページ1
私は思わず顔を覆い隠した。
「コハク。」
「フジ…くん。」
「やった…ね。」
「うん。やっ…た…！」
段々と高揚感が上がっていくのが分かる。
「「1位、取れた！！」」
作り上げたゲームが
ゲームソフトの月間売り上げ1位になった。
顔を覆い隠していた手は
いつの間にかフジくんの手とハイタッチをしていた。
「おめでとう…！
ん…？！これはありがとうなのか！？」
「分からんから両方で良いやん！
フジくんおめでとう！ありがとう！」
「やったぁ…！」
2人共携帯は嬉しい悲鳴で鳴り止まなかった。
ゲームを作り上げた関係者への連絡、
視聴者さんに向けての報告、感謝。
それらを終わらせてから
このままの流れで2人で飲みに行くことにした。
2人で飲みなんて5〜6年ぶりではないだろうか。
個室に入り、しばらく待つと
波々と注がれた黄金色と少し味の濃そうなつまみが届いた。
ジョッキが音を立ててぶつかったあとに2人とも口を付けた。
「あ〜やっぱりビールで乾杯よなぁ〜」
「そうだねぇ〜。」
イベント後に打ち上げはあったけれど
2人で打ち上げは無かったので、
主にイベントの事を振り返って話した。
「ホントね。お疲れ様。コハク」
「フジくんもお疲れ様。これからもよろしくね。」
無防備にも表に向けて置いていた携帯に通知が現れた。
「んっ…？」
思わず通知を二度見した。
「えっ…？えぇっ？！」
「「テレビ出演？！！」」
2人共店内である事を忘れ少し大声を出してしまった。
互いに人差し指を一本口に当て声を押さえ込んだ。
辺りを見回し、耳を澄ませたが
控えめに言って賑やかな店内では
何ともない声音だったようだ。
「ばかっ！コハク声デカいって！」
「フジくんもやろ！」
明らかに意識した小声で話すお互いに笑いが込み上げて来た。
今、何でも面白い。
「あ〜笑った。笑った。
…お酒入ってるし、
ノリで決めたくないからまた後日話そっか。
それでいい？フジくん。」
「うん。そうだね。」
追加で頼んだ透明色なお酒が2つ届いた。
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作者名：みこと | 作者ホームページ：http://なし)ー
作成日時：2022年6月14日 20時
