５８話 ページ13
舌打ちを珍しく呑み込んで隠し、爆豪を見やる。
爆豪は少し赤らめた顔を泣きそうに歪め、それでもなお耐えようと、眉間の皺はそのまま残っている。、
ドクリと、心臓が一拍大きく鳴ったのが自分でもわかった。
その爆豪に掴まれた腕を逆に掴み返して校門の柱に押さえつける。
「えっ、あの先パ『君さぁ』」
『俺があの女の敵共と戦ってた時に言ってた事覚えてる？』
怒気の含んだ声に少し怯える爆豪ではあるが、あの時の様に嫌悪の感情は見えない。
何処か焦ったかの様にさえ感じるAの姿に戸惑う。
『俺、女が嫌いなんだよ。』
”…俺は野蛮な女性は苦手でね………
……嘘、本当は女自体大ッッ嫌いなんだよ俺は！！”
敵と相対している時に言ったAの言葉を爆豪は思い出す。
いつもAは男には興味ない、爆豪が女だったら、なんて女性を求めた台詞を発していた。
女性なら誰しも好きな訳じゃないというのは聞いた事あるが、あの時言っていたのは”女自体嫌い”。
つまり本当は女性が嫌いだという事だ。
思い返せば女が好きだという割にAに彼女がいると言う話どころか女子と一緒に話している所すりゃ見ていない。
くたびれてはいるが眉目秀麗で、発言はクズではあるが文武両道で個性も強い。
そんなAだ。女に困る事はないだろう。彼女候補は捨てる程いただろうに、だ。
『…俺の父親はさ、昔っから見た目も頭も良かったんだ。
その知識が買われて今や弁護士。ステータスに高収入も追加された。
そんな父親に見た目だけは異常な程に良いあの女…母親が取り入ったんだ。』
ただ、イケメンで高収入な旦那。そんな自分を着飾る為のアイテムとしてAの母親は結婚した。そこに愛なんてものはない。
忙しく、家に帰る事の少ない父親を良い事に、父が買った一軒家には学校から帰る度に違う男が来ていた。
聞きたくもない実の母の甘い声と見たくもない知らない男の母を触る手つき。
騙されている父に呆れながらも、それでも耐えてきた。
今は無理でも高校で一人暮らしをさせてもらい、この胸糞悪い家から出ていこうと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春千瑠 - 全部読ませていただきました！番外編までサイコーでした！素敵な作品ありがとうございました☺️ (2022年12月30日 11時) (
レス) id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 完結お疲れ様です。読みやすくて設定も物凄好み作品ありがとうございました (2018年7月23日 0時) (レス) id: 5cdd067bc5 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 完結おめでとうございますヽ(*≧ω≦)ﾉ最後まで、番外編も含め面白かったです！！「これ以上お前に惚れさせるな」発言良かったです〜！！ クズ先輩の裏設定を踏まえた上でまた読み返したいと思います (2018年5月30日 0時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - 最後まで素晴らしかったです…！もういつもまにかファンになってずっと見てました！もう………語彙力なくなります…！番外編とか期待してます！ (2018年5月10日 11時) (レス) id: ee5c26d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - クズ先輩かっこよすぎじゃないですか何なんですか惚れますよ本当に！爆豪なにそのキスされた後の笑い方めちゃくちゃ可愛いじゃないですかあああ!続きというか番外編というか楽しみにしてます！めちゃくちゃ楽しみにしてますから！頑張ってください！ (2018年5月7日 9時) (レス) id: f50b37e34d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぶよ | 作成日時：2018年4月3日 22時
