【ヒロアカ】クズ先輩とタフネス君【男主】 (ページ23)

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２２話ページ23

雄英体育祭も近づいてきたある日の昼休み。
屋上へよく行き喫煙する事をマイクにバレたAは人気の寄らない空き教室にいた。

窓を開けて枠に肘をかけて、どこを見るわけでもなく外を眺める。その手には当たり前の様に火の着いた煙草が握られていた。
誰かが上を見上げればすぐにバレてしまうだろうが、案外人というのは上には気付かないもので、結構時間が経ったにも関わらず誰にも気づかれていない。

『……うっわ、だる。』

そんなAにちょっとしたアクシデントが発生した。
喫煙したことがバレた訳でも爆豪が乗り込んで来たわけでもない。直ぐ隣にある仮眠室から聞こえてきた会話だ。

来る時は誰もいなかったが、来て暫く経った後に扉が開いて誰かが入って来た。
その誰かとは、平和の象徴オールマイトと爆豪の幼馴染の緑谷出久。

2人して仮眠室に入って来た時は、禁断だの歳の差だの同性だのと、どんな3重苦だと不純な考えをしたものだが、どうやら誰にも言えない会話をしているみたいだ。勿論不純ではない。

マッスルフォームの維持は90分。
平和の象徴としての活動限界。
ワンフォーオールの調整が出来ない。
緑谷出久に力を授け、オールマイトを受け継ぐ。

所々意味の分からない単語が出てきているが総じてわかったことは、Aが聞いていい内容ではなかったこと。
こんな事が世間にバレでもしたら連日ニュースになり、それが敵にもバレてオールマイトも緑谷も一般人も危険に晒さらされてしまう。

一番危ないのは力…おそらく個性を授かった緑谷。
一般人もヒーローも敵も科学者も政府も、皆強力な個性を狙ってくる。

『……すぅ―――。……はぁ――――。』

以前、爆豪と話した緑谷の「個性は貰ったもの」発言、正直疑い半分だった事が思わぬタイミングで真相を知ってしまった。
なんとなく釈然としない気持ちを抑える為により深く煙を吸って、また吐き出した。

『……ん？待てよ……。』

色々な事を思わぬ形で知ってしまったAは一つの事に気付いた。

『これで脅せば将来安泰じゃね……？』

ナンバーワンヒーローなら金一杯持ってるだろ。