PRIDE（プライド） (ページ10)

今日:25 hit、昨日:3 hit、合計:374 hit

10 ページ10

あの時に、俺のものにしておくべきだったのに

こんなにも簡単に、
大切にしていた宝物をあっという間に攫われた

よりによって、アイツに、だ

コックの無類の女好きは自他ともに認めるほどで、アイツがナミにまとわりついていることは気に食わなかったが、
ナミがアイツを選ぶことは無いと踏んでいた

とんだ、過ちだったと気づいたのは
2人が同時に姿を消す日に気付いた後だ

実はしつこく言いよってくるコックに流されただけで
ナミはそこまでアイツに惚れていないのかもしれない

そんな淡い期待をする一方で
ナミも俺たちの前ではコックを気にとめないように振舞っているだけで
実は身も心もアイツに惚れ込んでいるのかもしれねぇ

もう、手遅れなのだろうか

二人の関係に気づいてからは、ロビンの見張りの度に、

ナミはコックと過ごしているのか
今2人が何をしているのか

そんな事ばかり気になって、
その度に、削られていく睡眠時間と反比例するように酒の量ばかりが増えた

気づくと、甲板の向こうでは朝日が登り、夜が明けていた
結局、また今日もナミのことばかりを考えながら、夜を明かして、好みでは無いはずの甘ったる酒まで飲み干してしまい、喉が渇いてキッチンへ向かった

ないことは分かっていたが、やはり備蓄倉庫の中の酒は全て空だった

乱暴に蛇口を捻って喉を潤す
乾いているのは、心も、だ

腕で口を拭いながら、部屋へ戻ろうと勢いよくキッチンのドアを開けると

俺が今1番見たくねぇ顔が現れた

｢っ…｣

アイツの面を見ないように、視線を逸らしてすれ違った

それでも、コックが昨日と着ていたのと、同じワイシャツなのが目に留まり、しかもソイツの体から、どことなく微かにナミと同じ甘い香りがして、

その全てが、2人の行為を連想させられるようで
俺は吐き気がしそうだった

コックが酒の備蓄がないことに対してうるさく怒鳴っていたが、俺は歪んだ表情を悟られないように、ナミをおもわせる男の香りを感じないように息を止めて、足早に男部屋へと消えた