PRIDE（プライド） (ページ9)

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side ゾロページ9

昨日は、ほぼ一睡も出来なかった。

悪酔いでも、こんな黒い感情のまま一人夜を過ごすよりはマシだと、酒を浴びるように飲んでみても、悪酔いにすらなりやしねぇ。

むしろ、酒が回った頭でも、
余計な事ばかり鮮明に考えてしまい、憂さ晴らしに飲んでいるはずなのに、いっそう気分が滅入る

それでも、こんな深夜では、酒を飲むくらいしか気の紛れる方法が思いつかず、キッチンに備蓄している酒を漁りにいった。

案の定、いつもならまだ明かりのついている時間に、既にキッチンは静まり返っていて

オマケに備蓄してあるはずの酒も、かなり目減りしている。

当然だ、週に一回来るこの日の度に、俺が飲んでいるのだから

好みではない甘そうな酒をみつけ、手に取る

オレンジ色のそれは、
ナミがお気に入りのもので、後でうるさく言われるだろうと思ったが、それを片手にキッチンを後にする

トレーニングルームに戻っても、到底ダンベルを振る気にはならず、キッチンからもちかえった柑橘の香りの酒を煽った

その色や香りに、ナミを重ねて

いつもなら、深夜まで日誌を書いたり、読み物をしたり、測量室やキッチンに見えるアイツの姿が今日は無い

そして、それと同じように、いつもなら翌朝の仕込みをしているはずのコックの姿も見当たらねぇ

あの二人が同時に姿を消すのは、決まってロビンが見張りの時だと気づいたのは、少し前の話だ

当人たちは隠しているつもりなのか
はたまた認めても構わねぇと思っているのか

真意は分からねぇが
2人が深い関係にあるのは、ほぼ間違いないだろう

ナミとはよく、
アイツのみかん畑の横で
たわいも無い話をしながら深酒をした

かなり酒に強いアイツでも、
頬を赤めて潤んだ瞳を向けてくることがあって
どうしようもなく俺のものしたいと何度思ったかわからねぇが

アイツが俺を好きになってくれるのを
じっと待つつもりだった

｢ゾロって昼寝と修行にしか興味が無いのよね｣

｢どういう意味だよ？｣

｢女心とか無頓着そうじゃない｣

いつか、酒を飲みながらそう言って笑ったナミの言葉を
もしかしたら、俺に気持ちを察して欲しいという事なのかと、都合のいい解釈をしたりもしたけれど

黙ったままの俺に対して、

まぁ、アンタはそのままでいいのよ

なんて言われたから、それ以上は何も聞けなくなってしまった