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ほんの数時間前までは、確かに彼は私の隣にいて、あんなに熱をわけあってあたというのに、
｢あの野郎ども、ナミさんのこと待ちきれず先に食いだしちまってよ｣
手際よく私の朝食を用意しながら、ルフィたちが平らげた朝ごはんの片付けを並行して行う彼は、私が昨晩見た彼ではなく、
当たり前の私たちの日常に溶け込んでいて、
この麦わらの一味の一流コックそのものの佇まい
その涼し気な横顔を見ながら、昨日感じた彼のことが、何だか少しだけ遠く見えた
｢サンジ、ご馳走様｣
ロビンは軽く微笑むと、丁寧に、飲み干した紅茶をカウンターにさげた
ロビンちゅわ〜ん！
わざわざレディに運ばせてすまねぇ〜
なんて、サンジくんはロビンにとろけるような笑顔を見せた
彼が女の子に優しいのはいつもの事
彼はいつだって、そう、私以外のすべての女性にだって、優しいんだから
｢それにしても、ゾロさん遅いですね｣
｢そうね。永遠の眠りについていなければいいのだけれど｣
｢ロビンさん！ちょっと怖すぎますよー！｣
2人の声でふとダイニングテーブルを見ると、ゾロの席には、既に用意された朝食がラップに包まれて並んでいた
｢あぁ、あの万年昼寝太郎なら、朝方に、酒びたしで起きてきて、寝に行ったからな。朝メシに起こせとかほざいてやがったが｣
｢もう。アイツ…！っていうかちょっと！
棚のお酒全部、空じゃない！アイツさては私の分まで！｣
サンジくんの奥にある、普段お酒を備蓄していた棚には、私が昨夜見た時にあったはずの酒瓶が全て消えている。
｢ゾロったら！｣
私のお気に入りのみかん酒まで飲み干すなんて、信じられないわ！
私が勢いよく立ち上がると、
｢あ、ナミさん！ゾロさんのことを起こすなら私が｣
気遣ってくれたブルックの声を背に、
｢いいのよ！アイツぶん殴ってやるわ！！｣
サンジくんの用意してくれている鶏肉のソテーの焼き加減が、もう少し時間がかかる事を感じながら、私はキッチンを後にした。
そんな私の背中に注がれていた、彼の視線に気づくこともなく。
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作者名：新世界のハート | 作成日時：2024年2月22日 19時
