PRIDE（プライド） (ページ28)

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コイツ

かまかけやがった

「あら、そんな怖い顔して」

「悪かったな…」

「まぁ、いつもの事ね」

ロビンはそう言うと、グラスをふたつ並べて、いかにも高そうな、ワインを注いでみせた

「お前、そんな高いやつ持ち出していいのかよ」

「あら。いいじゃない。それに、」

慰めて欲しい気分だったんじゃないの？

そう言って、俺の方にひとつ、ワイングラスを差し出した

「お前が、昼間から飲むなんて珍しいな」

「ふふ、1人で飲むのは寂しいでしょ。いつものお相手がつれないから」

そう言うと、ワイングラスに口をつけた

その、ツンとしたまっすぐな鼻筋を眺めながら、俺もひとつ息を吐いて、その洒落たワイングラスに口をつけた

「カサブタになって来てるわね、もう」

「あ？」

「傷は、きちんと治るものよ。」

そういって、俺の右腕の固まった血を眺めた

あぁ、そうかもしれねぇ

「同じ船に乗っている仲間でも、それぞれ、みんな思いがあると思うけど…」

ロビンはグラスを置いて、俺を見た
真っ直ぐな黒い瞳は、黒曜石を思わせた

「貴方を、認めているからこそ、負けたくないのよ。
海賊王の両翼は、2人とも負けず嫌いだから…ふふっ。」

「…」

「でも、彼も貴方も、きっとお互いを背中合わせで信じているから」

だから、大丈夫よ

そういった、ロビンのまっすぐな笑顔は、
とても優しかった

あぁ、そうだな

そうかもしれねぇ

俺はこの船の剣士で

ルフィは海賊王になる男で

俺はアイツの隣で、世界一の剣豪を目指す

この仲間と共に、これからも、この先も

ナミの笑顔を守る

それが、俺のプライドだ

今はまだ少し痛むこの胸の傷が
カサブタになるまで

＊

END

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