side ゾロ ページ27
甲板に出て、冷たい雨を浴びるつもりだった
だけど、湿った芝生の上で空を見上げると、雨はすっかり上がっていて、晴れ間が見えた
ふぅっと、深くため息をつく
俺の手にはまだ、ナミに触れた時の、柔らかな感触が残っている
「何だか、切ないですねぇ…」
「まぁな」
ふと、呟いて、
ギョッとして隣を見る
見て、再びギョッとする
「ォ、オマエ！いつからそこにいるんだよ！」
紳士ぶった変態骸骨が、ナミのみかんの木の影から顔を出した
「ヨホホー！いやぁ、すっかり雨に降られまして、冷たくなりましてねぇー！」
私、もともと温もりないんですけどぉ！
相変わらずな骸骨を横目に、
濡れた芝生に厭わず腰を下ろす
「あ、ゾロさん。ご傷心かと思いまして」
「あ？」
「呼んでおきました。私はこれで」
ブルックは、そう言うと、スタスタと船内へ消えていった
と、同時にみかんの木の影に、
見覚えのある姿
「逆だろ…」
恐る恐る俺を見るタヌキ、のようなトナカイが俺の方を伺う
「ゾロ、お前怪我してるだろ！」
コックに蹴り飛ばされた時だろう
掠った腕に、血が滲んでいた
「あぁ」
「なんで！俺、医務室に救急箱っ！」
「あー！いい！いくな！今はダメだ！」
タヌキの首を掴んでグイッと引き寄せる
「ゾロ！でもー！」
「いいから。あ、そうそう。ブルックを見てやれ。頭の具合が悪そうだ」
「何！頭痛か？！」
チョッパーは、医者ー！
といって、忙しなく船内へきえていった
やっと静かになった…
そのまま背中を寝転ぶと、
ふわり、と花のような香りが鼻をかすめる
「めずらしぃじゃねぇか…」
俺の横に、コトン、と瓶を置いた女は、
ふふっと柔らかく笑って俺を見下ろした
「あら。慰めてあげようと思ったのに、残念ね」
黒髪が、ふわっと風になびいた
「うるせぇな。慰めなんて、要らねぇよ…」
「あら？私に、慰めて欲しいの？」
ロビンは、そう言って悪戯に笑った
「チョッパーと、めずらしい医学書を探しに行ったのに、この通り雨で行けずに帰ってきたから、慰めてあげようと思ったら、入れ違いになるんですもの」
「…っ」
「でも、ゾロも慰めて欲しい気持ちだったのね」
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作者名：新世界のハート | 作成日時：2024年2月22日 19時
