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｢ナミさん、危ないから、下がっていて。
これは、俺たちの問題なんだ｣
｢違うの！悪いのは、｣
ナミさんは、
私が悪いの
と、小さく呟いて、ポロポロと涙を零した
｢…違うよ。どんな事があっても、君のせいじゃないさ…｣
俺は、収めた拳を解いて、ナミさんの頭を撫でた
ふわり、柑橘の香りが鼻腔を占める
｢俺が話があるのは、てめぇだけだ｣
俺が再び、ゾロに向かって力を込めると、ナミさんがいっそう俺にしがみついて泣きじゃくった
｢やめて！サンジくんっ！｣
｢ナミさんのお願いでも、それだけは聞けねぇ、こいつは！｣
｢違うのっ…！！｣
ナミさんは、俺の手をとって、自分の頬にギュッと擦り寄せた
｢この手はっ…｣
ナミさんは、大きく瞬きすると、綺麗な涙が頬を伝った
｢サンジくんのっ…この手は、人を傷つけるために使っちゃ、だめっ…｣
ナミさんは更にぎゅっと俺の腕にしがみつくと、子供みたいに泣きじゃくった
｢この手は、いつも私達を満たして、守ってくれてるの…ダメよ、傷つけちゃっ…｣
｢ナミさんっ…｣
俺は、ナミさんの震える肩に、ポンっと自分の手を置いた
｢ありがとう…｣
タバコを一本取り出して、くわえた。
煙を吸い込んで、ザワついた胸を、沈める。
｢おぃ｣
壁にそのデカい身体を持たれかけたままのゾロを睨む
｢行けよっ…俺の気が変わらねぇうちに。そうじゃないと、俺はお前を殺しかねねぇ｣
俺がそう言うと、ゾロはゆっくりと腰を上げて、俯きながら俺の横を過ぎていった
｢サン、ジくんっ…｣
大きな瞳が不安げに揺れる
俺と目が合った瞬間、再び彼女の目から涙が溢れた
｢ごめん、なさいっ…私、サンジくんの気持ちがわからなくてっ…何をしても怒らないし、嫉妬しないから、私の事、本当は好きじゃないのかなって、私って、サンジくんにとって、｣
ナミさんは、堰を切ったように、泣きじゃくった
｢そんなに擦ったら、赤くなっちまうよ…｣
ナミさんの手を取り、そっと腕を引き剥がす
｢俺の気持ちなんて…｣
痛いくらい、君に夢中なのに
再び目が合った時、俺はもう、
紳士でいることを辞めた
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作者名：新世界のハート | 作成日時：2024年2月22日 19時
