PRIDE（プライド） (ページ3)

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クソっ。
朝から胸糞悪ぃ顔を見たせいだ。

イライラする気持ちを抑えつつ、タバコに火をつけて、再びシンクの空瓶を片付ける。
むしろ、食器ならいざ知らず、てめぇの飲んだ酒の後片付けくらい、てめぇでしやがれ！

カチャカチャとなる音のせいで、気づかなかったが、空瓶を片付け終えて、朝メシの食材に手をつけた時に、ふと気配を感じて視線を上げると、丸い目をしたタヌキが、俺の方を見て立っていた。

「お、おはよう！サンジ！」

「…おぅ。」

「なんか、朝から、顔が暗いぞ…」

「まぁな」

「ど、どうした！朝から具合でも悪いのか？」

その、トナカイみてぇなウチのタヌキ、もとい非常食は、ダイニングテーブル横を、医者ー！と、あたふたと走り回る。

「具合は悪くねぇが、虫の居所が悪ぃ」

「え？サンジは虫を飼ってるのか？！」

タヌキの相手をするのもめんどくさくて、
もうすぐ朝メシだと伝えると、

俺、みんなを起こしてくる！

とパタパタと出ていった。

騒がしい奴らだ

少しはこのまな板の上の鶏を見習えよ。

包丁で丁寧に切込みを入れながら、付け合せのソースを作る。

オレンジ色の皮を丁寧にむいて、果汁を絞ると、先日ナミさんから頂戴した、熟れたその果実の香りが、いっぱいに広がって、再び俺は、昨夜の彼女の表情を思い出した。