PRIDE（プライド） (ページ16)

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ゾロの背中の体温が心地よくて、気づいた時にはもたれかかっていた
むしろ、ここがゾロの背中だと気づいたのはその時だった

ギシギシと、1歩ずつ踏みしめるブーツの音や、カチャカチャとぶつかり合う酒瓶の音

時折、はぁっと吐き出されるゾロの息遣いや、ピタリとくっつけた背中から鼓動の音が聞こえて、ドキッとした

普段、仲間のゾロとお酒を飲みかわして
背中を預けて、戦闘することはあったとしても

コイツの体温を、こんなに近くに感じることなんて、初めてで

でも今更、下ろして、なんていえずにただ背負われていると、ツンと鼻につく空気の匂いがした

「っ…来るわ。」

「なにがだよ」

「雨っよ…あと、10分くらい」

呂律の回らない口で、そう呟くと、ゾロは

お前がいうなら、そうなんだろうな。

と、やや駆け足で歩みを進めた

気づくと、外は土砂降りになっていて、バシャバシャと水溜まりを踏みしめる、ゾロの足音が背中越しに響いた

「おい、ちょっと下ろすぞ」

私がぼんやりとゾロの背中に身を委ねているうちに、サニー号に着いたのか、ギシギシと階段を踏む足音が聞こえ、うっすらと目を開けると、見覚えのある木の床が目に入った

「んっ…」

ゾロに、降ろされたのは医務室で、
チョッパーが普段作っているアルコール綿の匂いが、先程のアルコールと相まって、グッと鼻をつく

「おぃ、脱がねぇと、風邪ひくぞ」

ゾロは、手早く自分の来ていたTシャツを脱ぎ捨てると、積んであったバスタオルでおもむろに頭を拭いた

「ほら、お前も」

ゾロから手渡されたバスタオルに包むようにして、目を閉じる

「おぃ、濡れてんだろ、服」

ゾロ声を片隅で聞きながら、腕を伸ばすと、ゾロの無骨な手に触れた

「もう、動きたくない…」

ゾロは、一瞬、チッと舌打ちすると、
私の服に手を掛けた

生暖かいゾロの手が、ゆるゆると私のお腹を撫でる
なんだか、濡れた肌とその体温が心地よく合って、私はゾロの方を見た

「お前、んな顔、すんなっ…」

ゾロは何故か、私と目が合うと、悲しそうな瞳を向けた

そんな表情を見たのは、初めてだった