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｢ちょっと！いつまで寝てるのよ！｣
昨夜一睡も出来なかったはずなのに、何故か眠る気にもなれず、それでも目を閉じて男部屋のハンモックに身体を沈めていたら、けたたましい声と共に、ドアが響いた
｢ご飯冷めちゃうわよ。早く起きなさいよゾロ｣
俺が1番今会いたくない、ソイツは、あろう事か俺のハンモックに身体を乗り出すと、上に乗るようにして体をゆさゆさ揺らしてきた
｢おぃ、ナミ。おまえ、こんな所まで来るなっ…｣
絞り出すように発した声は掠れていた
｢なによ、あんたが寝坊助だから起こしに来てあげたのよ！｣
ナミは気にもとめず、俺の体を揺さぶる
｢あー、うるせぇな、起きるからどけろ！｣
そして俺の上に乗るんじゃねぇ！
嫌でも体が反応しちまうだろうがっ…
俺が上体を起こすと、ナミはつんと尖らせた唇で俺を見る。
大きな瞳、果実を思わせる唇
いつみても、その姿は俺を苦しくさせる
｢お前、離れろ｣
コックの匂いがするナミを押しのけるようにして、ハンモックから体を起こした。
｢何よ！そだ！ちょっとアンタ！私のお酒飲んだでしょ！勝手に！｣
あぁ。みかんの酒の事か。
｢あんた、あと2日で島だから、弁償して、買い物付き合いなさいよ！｣
｢あ？｣
｢だから、上陸したら、お酒買って返しなさい。ついでに荷物持ちも！｣
ナミは、憤りながら、キッと鋭い目付きで俺を見上げた
｢いいのか…｣
｢だから、お酒を！｣
｢わかったよ…｣
恋人でも、コイツの男でもない俺が
酒を弁償するという目的で、貴重な島の時間をお前とすごしていいのかよ
一瞬、コックの顔が過ぎったが
ナミからの申し出を断る必要はねぇ
俺は、予想外に
惚れている女との時間を貰えたことが単純に嬉しかった
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作者名：新世界のハート | 作成日時：2024年2月22日 19時
