PRIDE（プライド） (ページ2)

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まだ朝早く、こんな時間に起きているのは見張りのクルーか、朝の支度に取り掛かる俺くらいなもので、早起きとは程遠い、その気配の主に気づいた時に、俺がドアを引くよりも早く、そのドアが開いて、中から俺の予想どおりの顔が覗いた。

「なんだよ、やっぱりてめぇか。」

彼女の天使のような寝顔を見たあとに、こいつの仏頂面を見るのは、胃にさわる。

昼夜かかわらずに、いつでも寝ているこいつが、こんなに早起きとは、しかもこのキッチンに用事なんて、一体今日はなんの日だ。

今日からは、しばらく快晴だと言っていた、麗しの航海士の予想を裏切って、槍でも降るんじゃねぇか？

「何の用だ、朝飯はまだだ。てめぇに食わせるもんは、ねぇぞ」

その分厚い身体を横切ってカウンターへ向かうと。開け放されたままの備蓄倉庫の扉が目に入った。

「おい！お前勝手に、ここを荒らすなよ。クソマリモが」

俺が睨むと、元々目つきの悪いそいつが俺の目の前に空の瓶を差し出してきた。
近づいてくる度に、左耳のピアスが金属音を奏でる。
あぁ、なんで朝からコイツにこんなに近づかれなきゃならねぇんだ。

「もう、酒がねぇ」

朝の爽やかさとは程遠いソイツが、備蓄していたはずの酒があった棚をさして、低くそうつぶやいた。

「それはてめぇが飲み干したからだろうが！」

「元々、少ねぇ」

「それは、てめぇが毎日飲んだくれてるからだろうがっ！」

大量の空き瓶をシンクに置いていったそいつに怒鳴る。
クソっ、朝からコイツの後始末とは、運が悪りぃ。昨晩の幸せな記憶に浸っている暇もねぇ。

第一、先週寄った島で、棚いっぱいに備蓄した酒をこんなに早く無くすとは、一体どんなペースで飲んでやがるんだ。
イライラしながらシンクに溜まった空き瓶をゆすいでいると、そいつがピタリと足を止めた。

「おい。俺はこれから寝る。朝メシになったら起こせ。」

「ふざけんな！勝手に起きろ！クソマリモ！」

俺の怒声を聞いているのかいないのか、
ゾロは背中に俺の罵声を浴びながら、キッチンを後にして行った。