World is mine 2 (ページ4)

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「あの、少年忍者のAちゃんですか…？」

『…っ、ぁ、はい…』

握手してください！とキラキラの笑顔

きっとこの子はAちゃんの事を本当に好きなファンの子なのはどうみたって分かってるけど

差し出された手にあからさまに動揺して少し檜山くんの後ろに隠れるAちゃん。

「…？あ、すみません…こういうのダメ、でしたか…？」

SNSでもAちゃんのあの一件はネタが上がってたから
きっとこの子もそれを思い出して気を遣ってくれたらしかったけど

やっぱりプロ意識が高くてどこまでも頑張ってしまうAちゃんは
瞬時になんでもない顔をしてアイドル全開で女の子の手を包み込んだ。

『…ううん、ごめんね…！いつも応援してくれてありがとう！』

握手ひとつであんなに人を笑顔にできるなんて

やっぱりAちゃんはアイドルになるべくして生まれてきたような気がする。

***

3人で電車に乗り込んでからも少し混んでる車内ではAちゃんもずっと気を張っていたに違いない。
立ってるだけでもしんどそうで、時折震える自分の手を包むように握りしめている。

檜山「A、次で降りよっか？」

『…ううん、だいじょぶ』

なるべく人と接触しないように壁際にAちゃんを追いやって俺と檜山くんで囲むように立っているけど、

さっきの件といい、混んだ車内といい
もうAちゃんのキャパは限界そうだった。

「あの、良ければ席どうぞ…！｣

深田「え、すんません、ありがとうございます」

檜山「A、座らしてもらお。ありがとうございます」

『…ん、すみません…』

空いた席にAちゃんを座らせてその前に2人で立つと
より一層顔色の悪さと震える手が目に留まる。

檜山「A、大丈夫だよ」

向かいに立った檜山くんがAちゃんの手を取って握ってあげる。
にぎにぎと小さな手で握り返すけど震えは一向に止まらなくて電車で帰るのは断念することにした。

深田「Aちゃん、やっぱ今日は次で降りてタクシーで帰ろっか」

こんなとこで頑張んなくたって全然いいんだよ、と
Aちゃんの辞書に頑張らないを刻み込む。

『…ごめ、まだやっぱ触るのはこわかった…ふたりいてくれてよかった、』

深田「全然いいっしょ、これ以上いまは頑張んなくていい」

『…うん…ありがとう、あともうひとつだけ、わがまま言ってもいい…？』

檜山「ん、どうした？」

『…ぁ、あのね…？』

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