World is mine 2 (ページ21)

今日:1,668 hit、昨日:598 hit、合計:60,049 hit

無自覚ページ21

･

檜山曰くAは昔っからそんなに身体が強くないらしい。

どっか悪いかと言えばそうではなくて、
天気で頭痛がしたり風邪をひきやすいとかそういう類のやつだけど

困るのが全く自覚症状がない事だった。

自分に無頓着なのは今更だけども、
絶対身体はしんどいはずなのに無意識に耐えようとするからいつも限界突破して倒れることもたまにある。

そうならないように何人かは目を光らせてるわけだけども。

檜山「A、ちょっとこっち来て」

『んー？』

顔赤い、と檜山におでこを触られてるAを早速発見。

元木「なに？熱出た？」

『わっかんない』

元木「身体しんどくねえの？」

『…言われてみれば何となく熱いような気もするけど…わかんない…』

俺の問いにわかんないを連発するAに檜山もだろうね、といいながら無遠慮に体温計をすぽっと挟めて検温を始める。

黒田「いや～なんか顔赤くない？」

黒ちゃんが頬っぺをすりすり触ると目を細めて気持ちよさそうな顔をする。

檜山「37.2℃。微熱だね」

『…それ聞いたら急に具合わるくなってきそう、』

檜山の目利き(？)のおかげでAの体調不良がキャッチされ、とりあえず収録中も気にかけるようグループで共有した。

収録も終盤に差し掛かった頃、キュッと俺の袖を摘まれて目を向ける。

元木「A？どした？」

『わくちゃ…、ごめっ、なんかだめかも、』

小さく呼吸を荒らげながら涙目になった目で見上げられる。
これはもう相当しんどそうだ。

『すわりたい』と珍しくAが希望を口にするもんだから、
俺は慌てて彼女を支えながら床に吸い込まれていく身体をキャッチする。

元木「A？しんどい？」

スタッフ「YouTube撮影1回止めましょ！！」

急にしゃがみ込んだAに周りも気付いて撮影が中断される。

檜山「なした？苦しい？」

檜山と一緒に声をかけるけど床にへたりこんだまま一向に顔を上げないAにみんな不安が増していく。

内村「背中あっついわ。熱上がってるかも」

元木「声聞こえてたら手握れる？…きこえるね。きもちわるくなっちゃった？」

俺の問いかけに力なくキュッと手が握られた。

ここにいるより人が少ないところへ行くべきだと判断してそのまま抱えてトイレまで向かうとやっと『ひとりでだいじょぶ、』と中へ消えていったA。

さすがに入れないから外で待ってると
中からどんっと鈍い音が聞こえた。

･