World is mine (ページ49)

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そんな様子を見かねた嶺亜くんや樹くんなんかはよく「だせぇことすんな」と声をかけてくれたが、それも面白くなかったんだろう。

大事な舞台をかけたオーディションの日に
Aの靴が無くなった。

誰がやったかなんてみんな分かってたけどそんなことはどうでも良くて。
ただその時はAがオーディションに臨めるようにどうにかしないと、という気持ちでいっぱいだった。

当時まだ忍者として活動していなかったが、
檜山や皇輝くん達も総出で靴を探したけど結局オーディション直前になっても見つからなかった。

『…も、むり……っ！やめる、もうやめる！！』

ぽっきりと折れてしまったAが膝を抱えて声を上げて泣き出した。

本当は大の泣き虫でいつだって泣きたかったはずなのに、ずっと我慢してたんだ。

次こそ這い上がってやるってこのオーディションにかけて死ぬほど頑張ってきた結果がこんなことになるなんてそりゃこうなって当然だ。

泣き出すAに釣られて颯太もこんなのひどい！と泣き出すし、一緒になって辞めるなんて言い始める。

檜山「オーディションのために頑張って来たんでしょ…？外靴でもいいから受けてみようよ？」

『無理だよ……だってAサンダルで来ちゃったもん…っ、こんなことされてもうがんばれないよ……っ』

安嶋「…どうしようリハ場行かないと時間ないよ……」

いかない、もうやめる

そう言って膝に顔をつけたまま動かないA。

元木「……にげんの？」

『……っ！』

元木「ひでぇ事言われたって負けないって、頑張るって言ってたじゃん。俺と颯太と一緒にオーディション合格するって約束したじゃん。それなのに逃げんの？」

ばっと顔を上げて俺を睨みつけるA。
目にはいっぱい涙がたまって今にもこぼれ落ちそうだった。

『…わくちゃんにはわかんないよ……っ！Aいっぱい我慢して、がんばってきたのに……っ、も、できない……いじわる言うわくちゃんもだいっきらい！！』

泣かせないようにって守ってきたのに
今その目から大粒の涙を零させてるのは紛れもない俺だった。

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