World is mine (ページ42)

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次の日のAちゃんはケロッとしてまた舞台に立っていた。

『昨日はみんなありがとう、もうだいじょーぶ』

そう言って強がるAちゃんをみんな心配していたけど、
彼女がそれを拒むように当事者の俺たちから離れ黒ちゃんや内村くんの所へかけていくし、
彼女は本当にプロ意識が高くて微塵も不安な様子なくアイドルを全うしていた。

元木「あいつの大丈夫は大丈夫じゃないけど今は触れられるのもつらいだろうからとりあえず見ててやろう」

湧くんの一声でひとまずは様子を見ることにした。

この件は全ジュニアに伝達されて行き帰りはなるべく数人で帰ること、警備を増やすこと、そのほかそういった人たちへの対応などが大人から口酸っぱく言い聞かされた。

該当の女は過去にもほかのタレントに迷惑行為をしていたブラリ入りの女で、Aちゃんへの接近禁止命令が敷かれて終結した。

だからもう大丈夫、と彼女は言うけど
そんなわけない。

女の子があんなこわい思いをしたんだから

なかったことにしようとすればするほど彼女は自分で自分を苦しめる結果となっていた。

数日後の本番中、Dreamersのリフトで深田とAちゃんの土台になった時のこと
彼女が小さく震えてよろけたところを咄嗟に支えた。

深田と目を合わせ、やっぱり。と察した

本当はあれから舞台に立つことすら
怖くて堪らないのだと。

長瀬「Aちゃん、次の上手からのアクロ俺代わりに飛ぶから」

『えっ？なんで、だいじょぶだよ？さっきのはちょっとバランス崩しただけで…』

長瀬「いいから。今は無理でもAちゃんは絶対また飛べる。だからとりあえず俺に飛ばして」

そんなすくんだ足で1人で立とうとしないでよ
歴の浅い弟組の俺じゃそんなに頼りない？

1度やめたらもう飛べないんじゃないかって怖くなるAちゃんの気持ちも分かるけど、
あんなことがあったんだからいくら自分を見に来てくれてるファンの子ですら
向けられた視線に震えが止まらなくなるのは当然だよ。

俺が彼女に向かって笑いかけるときゅっと噛み締めた唇を解いて控えめに裾を握られた。

きっと俺たち弟組の前じゃAちゃんは泣かないだろうから
彼女の涙を涙を拭って抱きしめるのは深田達に任せよう。

長瀬「えっぐいの飛んであげるから、任してよ」

『…っ、うん、ありがとう、』

俺に出来んのはAちゃんの気持ちも乗せて高く高く飛ぶことだけ。

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