World is mine (ページ41)

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檜山くん達の所まで送りながら、心配かけたくないからみんなには黙っててね、とあの日のことを口止めされた俺だったけど

何となくAちゃんの様子がいつもと違くてこっそり湧くん達にあの日のことを話していた。

結果的に話していて良かったと思った。

次の日の舞台終わり、みんなでご飯に行こうと檜山くん、湧くん、深田、俺、Aちゃんで楽屋入り口を出た。

少し後ろをとぼとぼと歩くAちゃんを呼ぼうと振り返った時昨日見た女がAちゃんの腕を強く引っ張っていた。

『…きゃ！なにっ？！』

檜山「A！！」

元木「おいアンタ何してんだよ！！」

深田「ちょ、俺警備員呼んでくる」

直ぐに女から引き剥がしてAちゃんを抱きしめる檜山くん、ぶちギレる湧くんの声が建物に響いて近くにいた人が一斉にこっちを見る。

「なんで？！ずっと大好きなのに……！ファンを拒絶する権利がアイドルにあんのかよ！！！手に入らないなら出会いたくなかった！！」

警備員に取り押さえられながら泣きわめく女。

あの時のことを言っているのか分からないけど取り敢えずヤバいやつだってことは一目瞭然で、
その場からAちゃんを遠ざけることしか出来なかった。

結局事務所の大人に後処理を任せて、ひとまず俺達はマネージャーの車で迎えに来てもらうことになった。

状況を把握出来ないまま車の中でも檜山くんに抱きしめられて震えるAちゃんを1人にできる訳もなく、みんなで彼女の家まで送って貰うことになった。

家に着いてもただぼうっと掴まれた腕をさするAちゃん。

深田「赤くなっちゃったね、これでとりあえず冷やそ？」

びっくりするほど空っぽな冷蔵庫を見かねた深田がコンビニで色々買ってきて、小さな保冷剤をハンカチにくるんで彼女の腕に当てる。

処理できていないのかもだけど、ここまでAちゃんは一滴も涙を流していない。

こんな怖い経験絶対にさせたくなかったし、
もっと早く事務所にも伝えてればとか先に行かないで横歩けばよかったとか
後悔でいっぱいで。俺の方が泣きそうだったのを悟ってか『みんなごめん、』とAちゃんが呟いた。

檜山「A、ごめんな気付いてやれなくて。怖かったね、もう大丈夫だよ」

元木「我慢しなくていい」

『こわ、かった、』

2人が声をかけて抱きしめた途端声を殺しながら泣き出したAちゃん。
彼女を守れなかった罪悪感が静かに俺の胸を抉った。

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