World is mine (ページ34)

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あれからしばらくみんなで彼女の様子を見守ったけど、
酷い顔色でフラフラになりながらスタジオに入っていくAをみてさすがに声をかけた。

内村「ね、一旦休むのも仕事。ちょーっと俺のお話に付き合ってよ」

『……そーた、』

2人きりで話せる場所まで手を引いてAを隣に座らせる。

俺は話を聞くのが上手じゃないから、Aがちゃんと泣けるようにいつもは声掛けのタイミンだけ伝えて檜山や湧に任せていたけど
何となく今回は俺の方がいい気がして相談役もかってでた。

くっつく肩から徐々に強ばりが消えてぽつりぽつりと胸の内を白状し始める。

『時間が無いのにも焦ってるんだけど、っ』

内村「いいよ、ゆっくりでだいじょーぶ」

言葉を詰まらせながら堪えるように膝の上で握られた手を包む。
ちっちゃい手に俺の体温が移り始めるとまたゆっくりと口を開いた。

『…ファンの目線に立ってほかのグループの良さや個性を出せば出すほど、忍者の部分だけ客観視できてない気がして…みんなを輝かせたいのに、私の主観が忍者の魅力を引き出す邪魔をしてる気が、する……』

なんかわかんなくなっちゃった、とAに重ねた手の上にぽたぽた雫が落ちる。

内村「おれ、音楽のことはよくわかんないけどさ？でも俺はAの作る世界が好きだよ。Aの作る世界の登場人物になれるのが俺は嬉しい」

きっとみんなもそう思ってる

そう付け加え気持ちが伝わるようにとAを抱きしめる。

内村「曲、もう大方できてるでしょ？」

『一応最後までは、形にはなってる…けど』

内村「……うし！したら音楽は音楽のわかる人んところに助けて貰いに行こ！はい涙ふいて〜」

『っ？、わ、そーた、』

袖でぐいっと名前の涙をぬぐってゆっくり彼女を立たせる。

俺隣にいるよって意味も込めてさっきよりもぎゅっと手を握って
半ば無理やり侍のスタジオまでAを連れ出す。

内村「ばーなさーんたすけて〜」

『わ、ちょっと、そーたっ』

矢花「あえ？！何事？！」

中村「姫じゃん珍しいねこっち来んの」

なしたの？と集まってくる面々に事の経緯を簡単に説明しAの曲を聴いてもらった。
俺も初めて聞いたけど本気で震えるくらい刺さって言葉が出ない。

紛れもない才能の塊。

『…ど、かな…？』

「すごく良い」と、みんなの声を聞いて緊張が溶ける。

それぞれからアドバイスを貰って自信が付いたAの姿はもう大丈夫だと安心した。

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