World is mine (ページ28)

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不器用な君をページ28

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彼女と初めて会った時、
あぁ、誰からも愛されてる子っていうのはこんなにも輝いているのかとアイドルという職業の意味を知った。

明るくて愛嬌があって人一倍頑張り屋さんで

周りからの信頼も人気も実力も
全部持ってるように見えるのに、

なんでそんなにひたむきに努力し続けることができるんだろう？と
彼女を見る度に純粋な疑問を抱いていた。

周りより遅い入所だった俺

Aちゃんとの間に開いた5年の差は一目瞭然なのに、俺なんかよりずっと一生懸命にレッスンに励んでいて俺なんかが努力したって届かない遠い存在に思えてた。

『あれ、ふかだも残ってたの？』

深田｢今日の振り難しかったから自主練して帰ろうと思ったんすけど……Aちゃんいつもこんな時間まで残ってんすか？｣

『ねえそれやめて〜なんかへんなかんじする』

深田｢え、？｣

Aちゃんがそれといったのはぎこちなく使う俺の敬語を指していた。

小学生から入所する子もいる中で俺は高１で入ったもんだから、上下関係のあるこの世界では年齢なんて足枷でしか無かった。

同期の中でも歳だけ上で、目の前のことに精一杯で実力なんてどこにもなくて。

歳下に敬語を使いながら周りよりも上手く立ち回れない自分にぶち当たる度向いてないんじゃないかとさえ感じていた。

『無理に敬語使わなくていいよ？後輩もわたしにはみんなフランクだし、そういうの気にしないタイプだから』

深田｢いや、けどそういう訳には｣

『これから同じグループでがんばってくのになんか遠く感じてやなの。…わたしのわがままだからきいてくれるでしょ？』

わたし、ふかだのせんぱいだもんね

そう言っていだずらに笑うAちゃんの笑顔に俺は救われた気がした。

そこから少しずつ居残り練習を一緒にするうちにAちゃんと色んな話をするようになった。

Aちゃんを介して自分の立ち回り方が分かってきて、みんなとも徐々に打ち解けることができた。

『ふかだはさー、もったいないよね』

深田｢ん？なにが？｣

『みんなよりいっぱい頑張ってるのに、なんでそんな自分にきびしいの？』

深田｢……え？｣

誰よりも、周りの誰よりも努力し続けるあんたがそれを言うのかよ……？
そんなことをAちゃんに言われちゃったら俺、どうすればいいの？

この人には敵わない

頭を殴られたみたいな衝撃が走って、
口から言葉が紡がれるまでの時間が酷く長く感じた。

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