World is mine (ページ23)

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プリンセスデーページ23

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元木「うぃ〜す」

入にはまだ早いから誰もいないと思ってテキトーに楽屋を開けて入ると真っ暗なソファの上にちょこんと塊が見えた。

『……あ、わく〜……おはよお』

元木「今月もしんどそうだなあ、薬は？」

『ん〜……』

スマホをタップしてカレンダーをみる。
そろそろかもなと思っていたら案の定下腹部を抑えながら丸まって痛みに耐えるA。

曖昧な返答にまた大事なもん忘れてきたな、と容易に想像がついた。

いつもストック持ってる檜山は今日いないしどうすっかな。

着ていた上着をAに掛けてやり、財布だけ持ってまた立ち上がると不安な顔を覗かせ俺の手をぎゅっと握ってくる。

元木「ん？薬買ってきてやるから待ってな」

『……やだ』

元木「すぐ戻ってくっから」

『やだ。わくちゃん行かないで、』

いまひとりにしないで、とだんだんか細くなるAの声にあぁ、これはダメだと察してまた彼女の前に屈んで目線を合わせる。

元木「ん、わかった。ここにいるからもうちょっとだけ痛いの我慢出来る？今黒ちゃんに連絡するから」

ごめんね、とぽろぽろ泣き出すもんだから頭を撫でる手を止めて涙を掬う。

入所した時から俺の前だけでは泣き虫になる
そんなAの涙を拭うのが俺の役目。

元木「横になってた方が楽？膝に頭乗せな」

『……ん。わくちゃん、手』

元木「あいあい。このへん？」

もうちょいした、と俺の手に自分の手を重ねて下腹部を撫でるように誘導する。

『うー……いたい、』

元木「いたいなあ、もうちょいで黒ちゃん着くからすぐ薬飲もうな」

ピコンと音を立てて「薬買った！あとなんか好きそうなの買ったよん✌🏻｣と黒ちゃんから写真付きで届いたラインをAに見せる。

元木「良かったなお前の好きなあったかいミルクティーあるじゃん。……ほら、みんな来るからそろそろ涙引っ込めて」

『……なんか最近だめだめだ…勝手に涙出ちゃう』

泣きたくないのに弱虫やだ、と俺の手を握る手に力がこもる。

元木「俺が拭ってやれるところで泣いてくれるなら構わないよ。俺からしたらAは十分強いしもうちょい弱っちくなってもいいと思うけど」

『……も、湧がやさしいの本当にダメなんだってば…っ』

元木「だから俺はいつも優しいっつってんじゃん」

またポロポロ泣き始めるから今回は本当に情緒不安定だなあ。
まあ、俺の前ではいつまでも泣き虫な年下の女の子で居ていいよ。

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